米雇用と金利の分岐、ドル高と資産安は続くか(2026-W45)
米10年利回り低下とドル高が併存。来週の雇用・賃金と金利を条件に、ドル、金、株、暗号資産の分岐を読む。
米10年利回りは価格系列で4.929%、週次5.9bp低下し、米財務省系列では4.94%、6.0bp低下した。一方、DXYドル指数(DXY)は、米ドルの価値をユーロや円など6通貨の固定ウェイトのバスケットに対して示す指数です。上昇はバスケットに対する米ドル高を表します。は0.15%、ドル円は0.84%上昇した。来週は雇用・賃金の上振れと米財務省系列の利回り上昇がそろえば、金利見通しの上昇を通じたドル高と金・成長株・暗号資産への下押しを条件付きでみる。条件がそろわなければ方向を定めない。
米株指数と日経平均は逆方向で、商品も天然ガス・銅の上昇とWTI・金・銀の下落に分かれた。暗号資産のBTCとETHはともに下落した。クロスアセットの値動きは一方向にはそろわなかった。
為替ペアは左側の通貨1単位に対する右側の通貨の価格を示す。例えばUSD/JPYの上昇はドル高・円安、EUR/USDの下落はユーロ安・ドル高を意味する。

米第3四半期実質GDPGDP(国内総生産)は、一定期間に国内で生み出された付加価値の合計を示す指標です。実質GDPの成長率は物価変動を除いた生産の伸びを表しますが、GDPだけで暮らし向きや景気の全体像は判断できません。速報値は年率3.4%で、予想の3.0%を上回った。9月の総合PCE価格指数は前年比3.6%と予想の3.7%を下回ったが、8月の3.4%からは上昇した。GDPは四半期の成長率を年率換算した値、PCEは物価の前年比で、測定対象が異なる。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は10月28日、政策金利政策金利は、中央銀行が金融政策のスタンスを示すために設定・誘導する金利または金利群です。市場金利に働きかける際の基準となり、多くの中央銀行では短期金利が主な手段ですが、対象や運用方法は国・中央銀行によって異なります。を3.75〜4.00%で維持した。採決は10対2で、反対した2名はいずれも0.25ポイントの利上げを希望した。成長、物価、投票の内訳は一方向の政策判断を示していない。
米10月雇用統計は11月6日22:30(日本時間)に発表予定で、集計予想は非農業部門雇用者数米労働統計局の事業所調査が推計する、米国の非農業部門における給与雇用ジョブ数です。市場で示される前月比の増減は、失業率とは別調査に基づく指標です。が6万5,000人増、平均時給が前月比0.3%上昇、失業率が4.2%だ。次回FOMCは11月17〜18日。中国の10月製造業PMIは49.3で、公表が10月31日(土)のため、市場の反応は来週の取引から表れる。
日米2年差(米国利回り−日本利回り)は、共通観測日の10月23日に281.8bp、29日に270.9bpとなり、10.9bp縮小した。一方、ドル円は10月23日から30日までの週次で0.84%上昇した。金利差の縮小と円安は逆方向であり、金利差だけでは円安の要因を特定できない。1bpは0.01パーセントポイントで、利回り差をパーセントポイントで表した値に100を掛けるとbpになる。

観測期間も一致しない。日本金利の最終観測日は29日で、ドル円の週次変化は30日終値までを含む。10月30日の共通観測日の金利差や、為替フローによる裏付けはない。
11月6日までにドル円終値が10月30日の157.804円を上回り、日米2年差も10月23日の281.8bpを上回れば、この乖離が続くとの見方を見直す。差が再拡大してドル円高も続けば金利経路との整合性は戻るが、中間証拠なしに因果は確定できない。
米供給管理協会(ISM)の製造業景況指数は11月3日00:00に54.7(前回54.5)、サービス業景況指数は11月5日00:00に54.8(前回54.9)の予想だ。10月分の米雇用統計は11月6日22:30(日本時間)に公表され、集計予想は非農業部門雇用者数米労働統計局の事業所調査が推計する、米国の非農業部門における給与雇用ジョブ数です。市場で示される前月比の増減は、失業率とは別調査に基づく指標です。が前月比6万5,000人増、平均時給が前月比0.3%増、失業率4.2%。前回はそれぞれ2万9,000人増、0.1%増、4.2%だった。予想は集計値であり、発表結果の価格ベース確率ではない。
本当の焦点は、雇用と賃金の強弱がそろい、それを受けた金利の変化が確認できるかだ。強い結果が政策期待を押し上げる経路はありうるが、金利先物などで政策期待の変化を確認し、さらに資産価格への伝達を別に見る必要がある。反対に、10月23日から30日に米財務省の10年利回りは5.00%から4.94%へ6bp低下しており、足元の値だけでは金利上昇を基本線にできない。失業率の予想は前回と同じ4.2%で、補助指標として確認する。ISMは先行する景況材料として別に読み、雇用統計の分類には混ぜない。


観測済みの比較水準は、米財務省10年利回りが5.00%(10月23日)と4.94%(10月30日)、ドル指数が101.81(10月23日)と102.32(10月27日)だ。これらは日次の観測値確率変数 X が試行を実行した結果として実際に観測された具体的な数値 x のこと。試行前の「値が定まっていない箱」が X、試行後に箱から出てきた「具体的な数」が x。であり、目標値ではない。11月6日の利回り・ドル指数が雇用統計の発表後に観測されたかは日次値だけでは確定できない。上振れ経路は、同日付のドル指数が10月30日の101.964以下なら支持を欠く。下振れ経路は、利回りが4.94%以上、またはドル指数が101.964以上なら支持を欠く。
豪州準備銀行(RBA)とイングランド銀行(BOE)は、次回会合での利上げが市場予想に入っている。集計予想と先物・金利スワップの価格から算出した確率は別の指標だ。決定金利ごとの通貨の方向と検証条件を分けて示す。

決定後は金利水準だけでなく、RBA声明がインフレの持続性と次の判断条件をどう示すか、BOEの投票内訳と金融政策報告が次の判断にどの条件を置くかを読む。声明と市場の金利期待の変化は別々に確認し、その後の円クロス終値が決定後の観測と確認できる場合に表の条件と照合する。
WTIは週次-0.31%の小幅安だったが、月次+13.86%、年初来+79.29%の上昇を保った。天然ガスは週次+9.20%へ転じた一方、月次-4.73%、年初来-21.79%だった。前号の天然ガスは週次-15.28%で、週次方向が反転した。金-3.07%、銀-8.52%、銅+0.52%も週次で、商品内で方向はそろっていない。

WTIは10月23日終値の103.27米ドル/バレルから、30日の102.95米ドル/バレルへ下落した。週内は10月28日に日次+2.88%となるなど上下しており、月次・年初来の上昇と週次安は両立する。攻撃報道と同日の上昇があっても、報道と値動きの因果は確認できない。

米エネルギー情報局(EIA)が公表した10月23日時点の米商業原油在庫は410.625百万バレル、天然ガス貯蔵は3,724 Bcf(10億立方フィート)だった。在庫・貯蔵の単一時点の水準だけでは、需給の変化や価格への影響を判定できない。次回は週間石油統計が11月5日00:30、天然ガス貯蔵統計が11月6日00:30(いずれも日本時間)に予定される。
BTCは週次で4.79%、ETHは5.46%下落した。終値はBTCが10月23日の80,726.44米ドルから30日の76,861.90米ドルへ、ETHが2,362.58米ドルから2,233.57米ドルへ下げた。日次価格の観測時刻は示されていない。

BTC現物ETFETFは、金融商品取引所に上場し、取引時間中に市場価格で売買される投資信託です。市場価格は、保有資産を基に算出する1口あたりの基準価額(NAV)と異なることがあります。の表示純流入は、10月26〜29日に順に+110.3、+176.0、+137.3、+17.2百万ドルで、4日合計は+440.8百万ドルだった。30日は−409.5百万ドルの表示となり、表示値の単純合算は+31.3百万ドルとなる。ただし、30日のIBIT欄は数値が表示されておらず、未報告かゼロかは判別できない。
Binanceは10月30日の告知で、ホットウォレット侵害が10月29日20:05 UTC頃に発生し、トークン資産の損失を約63億米ドルと推定した。価格系列の時刻基準と照合できないため、侵害とBTC・ETHの下落を因果で結ばない。Binance Proof of Reservesの初回スナップショット結果は11月2日に公表予定だが、時刻は公表されていない。
公的残高の同時変化は観測できるが、それだけで資金の移動先や資産価格への因果は決められない。TGA(米財務省がFRBに置く口座)は週次平均で増え、同じ週次平均の準備預金(銀行がFRBに置く残高)は減った。ON RRP(翌日物リバースレポ)は日次残高であり、頻度の異なる三系列を足して一つの流動性変化とはみなせない。

見直しの基準は、11月4日の最新週次平均でTGAが999.727十億ドルを下回り、かつ準備預金が2,893.770十億ドルを上回ることだ。ON RRPは観測頻度が異なるため、この判定には含めない。
前号が置いたNasdaqとSOXXの回復条件は、10月30日終値でどちらも満たさなかった。4条件のうち3件は未達、H.15の金利条件は指定系列の値がなく判定不能である。

見直し条件が成立しなかったことは、テック株安が続く全経路を証明しない。H.15の指定値がない場合は別系列で代用せず、確認できた条件の結果と判定不能を分けて読む。

