CEXとDEXは何が違う?CoinbaseとUniswapで見る残高記録と交換価格
Coinbaseの取引サービスが説明する顧客別社内台帳と、Uniswapのプール交換・価格形成を資料の範囲で比べる。
中央集権型取引所特定の運営・管理主体が取引所機能を提供する暗号資産取引所を指します。顧客資産の管理や注文照合を運営主体が担う形が一般的です。(CEX)と分散型取引所分散型取引所(DEX)は、暗号資産交換の機能の全部または一部を、利用者どうしで直接取引する仕組みやプログラムによる自動処理で担うサービス/プロトコルです。処理がブロックチェーン上で行われる範囲や管理の分担は、実装ごとに異なります。(DEX)は「取引所」とひとくくりにされるが、呼称だけでは顧客残高を誰が記録し、交換価格を何が決めるかは分からない。CoinbaseのForm 10-Kは、取引サービスの顧客資産をブロックチェーン上でまとめて保有し、顧客別残高を社内台帳に記録すると説明する。Uniswapは、二つのプール準備金から交換価格を決める自動マーケットメーカー自動マーケットメーカー(AMM)は、流動性プールの残高と数式を使い、注文板で注文を照合せずに交換条件を決める仕組みです。定数積方式は、その一方式です。(AMM)を用い、利用者がプールとオンチェーンブロックチェーン上で実行または記録される行為や取引を指す。公開チェーンでは記録を参照できますが、その内容が読みやすい形で表示されるとは限りません。で交換する仕組みだ。取引所を選ぶ際の構造上の軸は、資産を誰が預かり、注文や交換を誰が処理するかにある。個別資料の比較から、すべてのCEX・DEXの安全性や性能を順位づけることはできない。
| 項目 | Coinbaseの資料 | Uniswapの資料・確認範囲 |
|---|---|---|
| 保管・台帳 | 顧客資産をブロックチェーン上でまとめて保有し、顧客別残高を社内台帳に記録すると説明 | プール準備金と交換方式を説明。利用者自身の秘密鍵管理とは別の論点 |
| 注文・交換 | Coinbase Advanced Tradeは現物・デリバティブのオーダーブックを提供。現物取引量は買い手と売り手の照合済み取引と定義 | 利用者が二つのトークン準備金を持つプールと直接交換 |
| 決済経路 | オンチェーンの顧客資産と社内台帳上の顧客別残高を組み合わせる | 利用者がプールと直接オンチェーン交換 |
| 手数料 | 取引量に応じる取引手数料や、取引種類に応じたスプレッド。対象日の具体料率は示されていない | バージョン別tierを別図に掲載。両者の総費用比較はない |
| 規制資料 | Coinbaseへの適用範囲はこの抜粋から確認できない | Uniswapへの適用範囲はこの抜粋から確認できない |
Coinbase Form 10-K、Uniswap資料、e-Gov府令抜粋が示す範囲を照合する参照表。e-Gov府令抜粋には登録申請手続と利用者資産の区分管理方法が記載されている。各行を項目、Coinbaseの記述、Uniswap資料の記述または確認範囲の順に読む。数値の分母や総費用比較はない。出典: Coinbase Form 10-K、Uniswap How Uniswap Works・Fees、e-Gov法令検索(各資料の取得日 2026-10-14)。Coinbase Form 10-Kの対象年度は2024年12月31日終了。
カストディは顧客資産の保管・管理を指す。オーダーブックは価格ごとに買い注文と売り注文を並べ、条件が合う注文を照合する仕組みだ。「取引所」という呼び名だけでは、顧客残高を誰が記録するかも、交換価格を何が決めるかも分からない。
Uniswapでは、プール準備金から交換価格を決める方式を自動マーケットメーカー(AMM)と呼ぶ。Coinbaseの取引サービスとUniswapの仕様をそれぞれ確認すると、顧客別の残高記録とプールとの交換という違いが現れる。利用者自身の秘密鍵管理は、プール交換の仕組みとは別の属性だ。
CoinbaseのForm 10-Kは2024年12月31日終了事業年度の開示で、カストディ資産のホットウォレット比率について、一般にいかなる時点でも2%以下を目指す方針を記す。この比率は会社の目標であり、実績値ではない。資料取得日は2026年10月14日だ。

Vyperのpost-mortemによれば、2023年7月30日に、コンパイラのバージョン0.2.15、0.2.16、0.3.0に潜在していた脆弱性が原因でCurve.Fiの複数の流動性プールがexploitされた。修正はv0.3.1で行われた。これは失敗経路を特定する数値であり、事故率や損失規模の比較値ではない。
CoinbaseのForm 10-Kは、取引サービスの顧客資産をブロックチェーン上でまとめて保有し、顧客別残高を台帳で別に記録すると説明する。同社は会社資産と顧客資産を台帳上で区分し、別口座で管理するとも記載している。これらはCoinbase自身の開示だ。
同社はホットウォレットとコールドウォレットを使い、鍵管理プロセスの内部監査や、同社のウォレットと第三者のブロックチェーンデータとの照合を行うと説明する。bitFlyerも、顧客から預かった暗号資産や日本円などを自社資産と明確に区分して管理すると説明している。どちらも各社の自己説明として扱う。
Uniswapが説明するのは、二つのトークン準備金を持つプールと利用者との交換経路だ。利用者の秘密鍵を誰が管理するかは、その交換経路とは別の属性である。
Coinbase Advanced Tradeは現物・デリバティブのオーダーブックを提供する。CoinbaseのForm 10-Kは、現物の取引量をプラットフォーム上で買い手と売り手の間に成立した照合済み取引として定義している。これはCoinbaseの取引サービスについての説明だ。
Uniswapでは、利用者がERC-20(Ethereum上の代替可能なトークンの共通規格)に準拠した二つのトークン準備金を持つプールと直接交換する。流動性提供者(LP)は、プールへ資産を預けて流動性を提供する参加者を指す。Uniswapの自動マーケットメーカーでは、相手方の注文との照合ではなく、プール準備金の状態が交換価格を決める。
Uniswapの説明では、xとyはプール内の二つのトークン準備金、kは定数積で保たれる不変量を表す。
Xをプールに入れるとX側の準備金が増え、交換でYが出ていくとY側の準備金は減る。積を保つ条件に従ってY側の残高が変わるため、準備金に対する取引量が大きいほど、追加のXに対して受け取れるYの平均量は小さくなる。式はUniswapの資料に基づく仕様であり、すべてのDEXに共通する方式ではない。v3・v4では、各LPが選んだ価格帯の範囲内でこの式が適用される。
教育用の仮定例では、初期準備金をXが1,000トークン、Yが1,000トークンとし、それぞれをx₀、y₀と置く。Xの入力量をΔx、プールから受け取るYの量をΔyとする。取引手数料はないものとする。取引後に残るY準備金は定数積から求められる。
取引前のスポット価格p₀はY準備金をX準備金で割った値で、1 Xあたり1 Yとなる。平均約定価格は受取量Δyを入力量Δxで割った値だ。例示用の価格影響率Iは、平均約定価格が取引前スポット価格から低下した割合を百分率で表す。
Xを100トークン投入する場合、入力値はx₀=1,000、y₀=1,000、Δx=100だ。定数積の式から受取量は約90.91 Y、平均約定価格は約0.9091 Y/Xとなる。取引前価格の1 Y/Xと比べた価格影響率は約9.09%だ。
このモデルは単純な定数積を使う教育用の仮定例で、Uniswapの特定バージョンの実際の設定や動作を再現しない。v3・v4でLPが選ぶ価格帯もモデル化していない。計算値は実測値やUniswapの公式指標ではない。

図の読み方: 横軸はプールへ入れるXトークンの量、縦軸は初期スポット価格に対する平均約定価格の低下率だ。入力量10 Xでは約0.99%、100 Xでは約9.09%、500 Xでは約33.33%となる。初期準備金を各1,000トークン、手数料なしとした仮定に基づく計算であり、実測値ではない。
Coinbaseの説明では、顧客資産はブロックチェーン上でまとめて保有される一方、各顧客の残高は社内台帳で記録される。Uniswapでは利用者がプールとオンチェーンで交換する。両者で、資産の保有と交換を記録・実行する場所が異なる。
Uniswapの説明によれば、デプロイ後のコアコントラクトはアップグレードできず、取引を停止・取消したり、挙動を遡及変更したりする主体はいない。別の仕組みとして、ガバナンスは対象プールで定められた範囲のprotocol feeを有効化できるとされる。
Coinbaseは、取引量に応じる取引手数料や、取引種類によるスプレッド(買値と売値の差)を説明する。SimpleとAdvancedでは手数料体系が異なり、顧客区分、過去の取引量、支払方法、取引額などが関係する。2026年10月11日時点の具体的なCoinbase料率は示されていない。
Uniswapのswap feeは交換に伴う手数料で、LPに配分される部分と、プロトコルに向かうprotocol feeを区別する。資料はprotocol feeについて、v2の全プールと一部v3プールで有効とし、v4ではガバナンスが有効化できる仕組みと説明する。tierの数値は取得資料に記載された値に限られる。
Ethereumのgasはネットワーク処理に必要な計算量を測る単位で、gas feeは使用量と単位あたりの費用で決まる。Ethereumの説明では、取引が失敗しても支払いが生じ、手数料はbase feeとpriority feeに分かれる。これはUniswapのswap feeとは別のネットワーク費用だ。
MEV(最大抽出可能価値)は、ブロック内の取引を含める、除く、または順序を変えることで、通常のブロック報酬とgas feeを超えて得られる価値を指す。Ethereumの資料はサンドイッチ取引の例を示し、利用者に約定の悪化が起きる場合を説明している。各費用を合算した同条件の総費用比較はできない。
e-Gov掲載の内閣府令抜粋は、資金決済法第63条の2の登録を受けようとする者が登録申請書を提出する手続を記す。また、同法第63条の11第2項に基づく管理方法として、利用者の暗号資産を自己の暗号資産と区分し、利用者ごとの数量を帳簿から直ちに判別できる状態にすることを示す。
この抜粋から確認できるのは、記載された申請手続と管理方法だ。CoinbaseやUniswapへの適用範囲、DEX・プロトコルの法的位置づけまでは示していない。
CoinbaseとbitFlyerが説明する管理策は各社の開示であり、独立検証済みの運用実績を意味しない。Uniswapのコアコントラクトに停止・取消の主体がいない設計も、コードの脆弱性が存在しないことを示すものではない。
FTX破産事件の宣誓供述書断片は、任命前に会計・統制の仕組みが存在しなかった、または不十分だったと述べる。秘密鍵へのアクセスに保護されていないグループメールアカウントを使ったことや、ブロックチェーン上のポジションを日次照合していなかったことも記載されている。これは提出文書の主張であり、裁判所の認定ではない。
Vyperのpost-mortemは、再入防止機構の実装不備が一定条件で回避可能だったと説明する。再入防止機構は、処理中のコントラクトを再び呼び出す操作を防ぐ仕組みだ。この脆弱性はCurve.Fiの複数プールに影響した事例であり、Uniswapの事故ではない。
FTXとVyperの個別事例は、それぞれ帳簿・統制とコンパイラ脆弱性という異なる失敗の起点を示す。各資料は個別の経緯を記したもので、事故率や損失規模の比較値ではない。
選ぶときは、残高の記録方法と交換価格の決まり方を分けて見ると、二つの仕組みを自身の状況に照らして判断しやすい。約9.09%は、X・Yそれぞれ1,000トークンの準備金で、手数料なしにXを100トークン入れる仮定例の値に限られる。