中央集権型取引所は、暗号資産取引で、運営主体が取引所の機能を提供する形態を指す用語です。英語の Centralized Exchange を略して CEX とも呼びます。
定義
中央集権型取引所(Centralized Exchange、CEX)とは、特定の運営・管理主体が取引所機能を担う暗号資産取引所です。税務大学校の研究論文はCEXを「特定の管理者が存在する取引所」と説明しています。[1]
運営主体が顧客資産を保管・管理したり、取引注文を照合したりする形がよく見られます。米国証券取引委員会(SEC)の発言も、中央集権型の暗号資産取引プラットフォームは一般に顧客資産を管理すると述べています。[2] ただし、これらは典型的な機能であり、すべてのCEXに同じ機能や管理方法が必須だという意味ではありません。
具体例
仮に、ある取引所へ利用者が暗号資産を預け、買い注文を出すとします。運営主体が資産を管理し、売り手の注文と照合して取引を成立させるなら、その運営形態はCEXの典型例です。SECの発言には、暗号資産証券を扱うプラットフォームが複数の買い手と売り手の注文を照合するとの説明があります。[3]
似た用語との違い
- DEX分散型取引所(DEX)は、暗号資産交換の機能の全部または一部を、利用者どうしで直接取引する仕組みやプログラムによる自動処理で担うサービス/プロトコルです。処理がブロックチェーン上で行われる範囲や管理の分担は、実装ごとに異なります。(分散型取引所)は、利用者がスマートコントラクトを通じて自律的に交換し、中央管理者がいない、または特定しにくい形態として説明されます。ただし、DEXと称するサービスの中にも中央集権的な性質を持つものがあると指摘されています。名称だけで運営の実態を判断できるとは限りません。[4]
- 暗号資産交換業は、日本法上、業務内容に基づいて定められる類型です。CEXが運営モデルを表す用語なのに対し、暗号資産交換業は法令上の区分なので、CEXという呼称だけから登録の要否や法的地位を判断することはできません。[5]
詳しくは
- 上村和紀「DeFi(分散型金融)の税務上の取扱いについての一考察」税務大学校論叢第113号、2024年6月、第1章第2節。CEXの表記と「特定の管理者が存在する取引所」という説明を参照。論文には、執筆者個人の見解であり公式見解ではないとの注記があります。
- Gary Gensler, “Prepared Remarks of Gary Gensler on Crypto Markets at Penn Law Capital Markets Association Annual Conference,” 米国証券取引委員会(SEC)、2022年4月4日。顧客資産の管理に関する説明を参照。
- Gary Gensler, “Kennedy and Crypto,” 米国証券取引委員会(SEC)、2022年9月8日。「Intermediaries」節。暗号資産証券を扱うプラットフォームの注文照合に関する説明を参照。
- 「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告」金融庁・金融審議会、2025年12月10日、第IV章「海外の無登録業者・DEX等への対応」。DEXの一般的な特徴と、中央集権的な性質を持つサービスについての指摘を参照。
- 「令和4事務年度 金融行政方針」中の暗号資産交換業者に関する説明資料、金融庁、2023年6月30日、第42頁「暗号資産交換業者の定義」。