引き締めの「表示」と「確認」が割れた週 FOMC・日銀・EIAの3つの判定日
S&P 500は週次-0.80%、ドル/円は-1.35%の153.55。CPIコア上振れで利上げ織り込みは87%まで進んだが、ドル指数は-0.04%と追認していない。来週はFOMCのSEP・日銀・EIA週次石油報告が3つの判定日。
物価は上振れ、長期金利は上がり、円だけが先に動いた。ただし引き締めの「表示」に対して、ドルと準備預金はまだ「確認」していない。確定数字から置く。S&P 500は2026-09-11終値7656.98(週次-0.80%)、ドル/円は153.55(週次-1.35%)、ドル指数は99.12(週次-0.04%)、米10年債利回りは4.9750%(週次+19.1bp)、10年物TIPS実質金利(DFII10)は2.55%で2営業日+12bp。8月CPIはコア前月比+0.3%と予想(+0.2%)を上振れし、9月FOMCの利上げ織り込みは9/11時点の二次引用で91%→87%(PPI公表日時点では72%)まで進んだ。来週の判定日は3つ。FOMC(09-17 03:00 JST、声明・SEP)、日銀(09-18 声明、総裁会見15:30)、EIA週次石油報告(09-16、週ending 09-11分)。
調査の週次窓は2026-09-04終値→2026-09-11終値。株は小幅安の内側で二層、為替は円だけが動き、商品は原油だけが走り、暗号はBTCとETHで符号が割れた。一枚の「リスクオフ」ではない。
| SPX | 7,656.98 | -0.80% | -1.18% | — |
| IXIC | 26,333.04 | -0.66% | -0.96% | — |
| N225 | 64,011.34 | -1.55% | -5.20% | — |
| USDJPY | 153.55 | -1.35% | -3.59% | — |
| EURUSD | 1.16 | -0.24% | +0.50% | — |
| DXY | 99.12 | -0.04% | -0.89% | — |
| WTI | 100.05 | +9.37% | +20.15% | — |
| GOLD | 4,408.90 | -0.47% | +0.00% | — |
| BTC | 76,753.80 | -3.86% | +22.07% | — |
| ETH | 2,482.61 | -0.52% | +32.33% | — |
円の動きは「ドル安」では説明できない。ドル指数の週次は-0.04%と誤差の範囲で、ドル/円だけが-1.35%下げた。売られたのはドルではなく、買われたのは円である。金とBTCの下落には実質金利が効く。DFII10が2営業日で+12bp動いた週に、ドルは横ばいだった——「ドル安だから金・BTCが売られた」はこのサイズでは成立しない。株の中身はXLE +1.6856%とSOXX +1.3869%が指数を上回り、Russell 2000 -2.4102%とXLV -3.5515%が下回る二層である。
先週の材料を一つの枠に置く。来週のカレンダーはこのギャップを閉じに来る。
| 層 | 中身 | ステータス |
|---|---|---|
| 表示 | DFII10 2営業日+12bp、エネルギー価格と卸売(PPIエネルギー+4.2%・ディーゼル+24.1%)の継続、9月利上げの二次スナップショット87%、日銀調査97% | 進行中 |
| 確認 | DXY週次-0.04%、準備預金増(主因はTGA減)、原油の需要数量は非継続、XLEの遅れ、BTC ETF 4日流出・ETHは9/11流入 | 実現済み〜部分確認 |
| 未決 | SEPの方向、日銀1.25%対据え置き、EIA ending 09-11、現物ETFの9/15以降日次 | 未織り込み・未公表 |
準備預金の増加は、FRBのH.4.1ではTGA(財務省一般勘定)の減少と勘定対応する。リバースレポの内訳はForeign officialが99.82%を占め、国内余剰資金の放出と読むのは誤りである。なお「TGA減とリスク資産週次の非追随」は2週の並置でしかなく、因果には昇格させない。
W37号が置いた検証点の答え合わせ。判定は2026-09-11終値と当週の公表値で行う。
| 前週の検証点 | 観測 | 判定 |
|---|---|---|
| 米CPIゲート:ソフトなら利上げ帯は巻き戻され、ホットなら維持・拡大 | コア前月比+0.3%が予想+0.2%を上振れ。織り込みは72%→87%へ拡大 | ホット側が成立(維持・拡大どおり) |
| 原油:先物−STEOギャップが残るか | WTIは週+9.37%で100.05。ギャップ消滅・押し戻し優勢の下振れ条件は不成立 | プレミアム残存側が成立 |
| 株の内部二層:半導体・エネルギーの並立がPPI→CPIで収縮するか | SOXX +1.39%・XLE +1.69%が指数を上回り、Russell -2.41%・XLV -3.55%が下回る | 収縮せず、むしろ深化 |
主役は振り返りではなく来週の分岐である。織り込みの数値%はライブ一次ソースが無いため、格付けはベース/上振れ/下振れで置く。
市場の織り込みは二つの顔を持つ。CPI公表前のロイター調査は65/93が据え置きだったが、CPI後の二次スナップショットは利上げ87%まで進んだ。ライブのCME FedWatch会合別%は欠落しており、87%を現在確率としては使わない。焦点は25bpの有無そのものではなく、SEPの政策金利経路が7月の反対3票(Hammack・Kashkari・Logan、各氏は+25bpを主張)とCPIコア0.1pp上振れのどちらに寄るかである。
織り込みは3つの別指標が並ぶ。ロイター調査97%、東京短資97%、Newsquawk引用OIS約79%。単一の市場確率には合成しない。据え置きはテールである。本当の問いは「決定」ではなく「消化」だ。円は利上げ予想を先に織り込んで週次-1.35%動いている。1.25%が出ても先行分が消化済みなら円高継続は限定される。逆に据え置きなら97%側の織り込みが崩れ、OIS約79%が相対的に残る。介入は未公表のままでは、据え置き後の円安幅をキーレベルに置けない。
WTIは週+9.37%と価格が先行したが、需要数量(稼働率・製品供給)は追いついていない。ending 09-11分が価格先行を需給数量で追認するか、需要の非継続を確認するかが分岐である。ベースは「数量が価格と揃わず、価格先行とXLEの遅れが残る」。需要数量が価格に追いつけば「非継続」は棄却、製品供給増かつWTI続落なら価格先行の解消である。
S&P 500の週次-0.80%は小幅だが、Russell 2000 -2.41%とXLV -3.55%は指数より深い。FOMCと日銀を挟んで、遅れた層が指数に追いつくか、二層のまま開くか。セクター資金フローの幅計測は未取得のため、「誰が売ったか」の原因断定はせず、イベント後の週次符号で判定する。詳細は株式スポークに委譲する。
エネルギーは「価格・卸売」(WTI +9.37%、PPIエネルギー+4.2%、CPIガソリン+3.9%)が継続し、「需要数量」が継続していない。暗号はBTC現物ETFが4日連続流出(最大流出日はPPI公表日)であるのに対し、ETHは9/11に流入し、発行体もARKBとETHAで符号が割れた。BTCはATHから-38.791%のドローダウンが残ったまま月次+22.07%で、週次と月次が逆方向である。BTCとETHを「暗号」として一括のリスクオフにはしない。
| 日時(JST) | イベント | 織り込み |
|---|---|---|
| 09-15 11:00 | 中国 工業生産・小売売上高 | Newsquawk予想 工業+4.8%/小売+0.8%(二次) |
| 09-16 15:00 | 英 CPI 8月 | Newsquawk 総合前年比 約+3.2%(二次) |
| 09-16 21:30 | 米 小売売上高・輸出入物価 8月 | コンセンサス取得不可 |
| 09-16 | EIA 週次石油報告(ending 09-11) | 未公表 |
| 09-17 03:00 | FOMC 声明・SEP(会見03:30) | 二次スナップショット87%(9/11)。ライブ一次未取得 |
| 09-17 20:00 | 英中銀 | ロイター調査65/65据え置き(現行3.75%) |
| 09-18 08:30 | 全国 CPI 8月 | OANDA予想 総合+1.9%等(二次) |
| 09-18 | 日銀 声明(時刻未公表、総裁会見15:30) | ロイター97%・東京短資97%・OIS約79%(別指標のまま) |
| 09-18 22:15 | 米 G.17 鉱工業生産 8月 | コンセンサス取得不可 |
雇用統計(+162k、改定含め+55kの上方修正)が利上げの主根拠になれば、コア0.1pp対比の「織り込みが速い」は弱まる。87%は9/11時点の二次引用であり、ライブが大きく離れていれば会合当日は声明とSEPの二値で判定し直す。日銀は調査97%とOIS約79%の割れを両方残す——調査に寄せれば据え置きテールを過小評価し、OISに寄せれば週次-1.35%の先行を無視する。DXYが週次プラスに転じ準備預金が減少に向かえば「追認していない」は棄却され、金・BTCの主因候補にドルが戻る。EIAが需要数量を価格に揃えれば「価格先行」の中心は落ちる。BTC現物ETFが2日連続+200超の流入に転じるか、価格が回復すれば、流出継続の三層(流出・月次と週次の逆・発行体割れ)は崩れる。9/15以降のETF日次欠落はこの反証を遅らせる。
数字の出典は Yahoo Finance 日次終値(2026-09-04→2026-09-11)、CoinGecko(BTC/ETH)、BLS(CPI 2026-09-11、PPI 2026-09-10、雇用統計 2026-09-04)、FRB(7月FOMC声明・H.4.1・FOMC日程)、ECB(09-10声明・政策金利表)、EIA、ロイター(CPI即時・日銀・英中銀調査、FedWatch引用)、Newsquawk(Week in Focus 9/14-18)、財務省(為替介入公表)、日銀(7/31決定・カレンダー)。FedWatch会合別%・日銀OIS・EIA ending 09-11は一次未取得のため、二次引用と調査値は時点を明記して併記した。