金利も流動性も米実需も、今週の上げを一つでは閉じない
今週の上げは金利経路・国内流動性・米実需のどれか一つでは閉じない。DFII10 月次は 0.00pp のまま金は +14.09%、DGS10 だけが −6bp。原油はホルムズと米製品供給前年割れの併記、暗号は現物ETFの符号反転を見る。
今週の上げは、金利経路・国内流動性の膨張・米実需のどれか一つでは回収できない。動かない側ははっきりしている。議事録当日(2026-08-19)の DGS2 は 4.19% で変化 0.00 pp、10年 BEI は 4.71−2.41 と 4.65−2.35 でともに 2.30% のまま、金の月次窓(2026-07-20→08-20)では DFII10 も 2.35→2.35(0.00 pp)である。動いた側も同じ窓で対になる。DGS10 は 4.71→4.65(−6 bp)。財務省 sb0607 は 10–20年・20–30年の買いオペ上限を 1回あたり $2bn から少なくとも $4bn へ引き上げると発表したが、発効は 09-09 であり、08-19 は実施因果ではない。金 GC=F は月次 4,010.30→4,575.50(+14.09%)で、同一窓の実質金利は止まっている。残る観測可能な動因は三つに限る。(1) 超長期上限の発表がカーブの長い方だけを動かしたこと、(2) ホルムズ 4.9 vs 21.6 million b/d と米製品供給前年比 −2.9% の併記、(3) 米現物 ETF の符号反転と 08-19 への集中。株の S&P 500 7,785.76 は 08-14 終値であり、商品窓(08-14→08-20)と重ねない。
図 V1. 止まっている説明変数 vs 動いた価格(同一窓を対にする)

| 動かない説明変数 | 動いた観測 | 窓 | ラベル |
|---|---|---|---|
| 月次 DFII10 2.35→2.35(0.00 pp) | 金 GC=F 月次 4,010.30→4,575.50(+14.09%) | 2026-07-20→2026-08-20 | 金利因果を否定(原因側が 0) |
| DGS2 4.19、変化 0.00 pp | DGS10 4.71→4.65(−6 bp) | 議事録当日 2026-08-19 | 短い方は停止、長い方だけ動いた |
| 10年 BEI 2.30% 不変 | sb0607 上限 $2bn→少なくとも $4bn(発効 09-09) | 発表 08-19 / 実施は未到来 | 08-19 は発表への先回り。実施因果にしない |
| 準備預金 −8,772 | 金週次 +4.45%、WTI +5.07%、Brent +5.72%、BTC ETF +1,107.3 | H.4.1 対 W34 価格・フロー | 流動性膨張因果を符号で否定 |
BEI は DGS10−DFII10 の算術。金 4,575.50 は月次終点であり、08-19 終値ではない(08-19 終値は欠ける)。
主張は二つに分かれる。第一に、金の月次 +14.09%(差額 +565.20)は実質金利トレンドでは説明できない。同一窓の DFII10 が 0.00 pp だからである。第二に、08-19 のカーブ変化は FOMC 投票 9–3 の再確認ではなく、sb0607 の対象年限と動いた年限が一致している。DGS2 は 4.19 で止まっている。
議事録当日の DFII10 は 2.41→2.35(−0.06 pp)で、これは月次窓の 2.35 不動とは別窓である。週次の金 +4.45%(対 08-14 の 4,380.40)と DFII10 −0.06 pp は並走するが、中間フローが無く、相関に限定する。DXY は 08-14→08-20 で −0.89%(99.67→98.78)。ドル安から金への資金移動も、買いオペから金への資金移動も、観測していない。銀は年初来 −5.28%(70.13→66.43)、金は年初来 +5.78%(4,325.60→4,575.50)で差は 11.06 pp。貴金属を同一の金利因にまとめない。07-20 時点の金年内は −7.29% で、月次急騰はそこからの戻りでも、金利経路では閉じない。
小売は −0.6%。その日の DGS10 は +5 bp であり、「弱い実体 → 金利低下」はその日は因果否定になる。CPI は予想どおり、PPI ヘッドラインは不変、NFP は −23,000。短い金利を動かす材料は 08-19 時点では出ていない。超長期オペの実施は未織り込み(発効 09-09)。CME FedWatch の公式 hold / hike %は取得しておらず、数値%の織り込みは書かない。
因果ラベルは次のとおり。sb0607 発表 →[因果: 実施は 09-09。08-19 は発表への先回り] DGS10 / DFII10。DGS10/DFII10 →[相関: 中間フロー欠] 金週次 +4.45%。小売 −0.6% →[因果否定: 当日 DGS10 +5 bp] 弱い実体→金利低下。
図 V2. 年限の符号分裂:DGS2 停止、DGS10 だけ −6 bp
| 系列 | 始点 | 終点 | 変化 | 日付 |
|---|---|---|---|---|
| DGS2 | 4.19 | 4.19 | 0.00 pp | 2026-08-19 |
| DGS10 | 4.71 | 4.65 | −6 bp | 2026-08-19 |
| DFII10(議事録当日) | 2.41 | 2.35 | −0.06 pp | 2026-08-19。月次の 2.35 不動とは別窓 |
棄却の目盛りは、DGS2 ≥4.34% by 2026-08-29、DFII10 <2.25 かつ GC=F が 4,575.50 を維持 by 08-27、DFII10 ≤2.25 かつ金割れ by 08-28、または DFII10 <2.15 かつ金割れ by 08-28。
W34 の原油高(WTI +5.07% / Brent +5.72%、08-14→08-20。Brent 終値 93.58)の本体は、「ホルムズの物理フローが細い」と「米製品供給が前年を下回る」の同時存在である。商業原油の週次プラスだけで需要崩壊とは言えない。Brent 93.58 は STEO 3Q の公式パス約 85 から 8.58 上に外れている。この差は公式パスからの距離であり、公式プレミアムとは呼ばない。
ホルムズは 21.6→4.9 million b/d(残比 ≈22.7%、減少幅 16.7)。バブ・エル・マンデブは 5.4→8.1 と増えており、海峡を単一点に足さない。OPEC+ の 188 thousand b/d は減少幅 16.7 の約 1.1% で、海峡ギャップを埋めるサイズではない。ホルムズ →[相関: 週次通航量なし] WTI/Brent。W34 の +5% 超は相関に限定する。
米需給は商業原油 +4.4、SPR −5.3、ネット −0.9(算術のみ。需要の証明ではない)。稼働率 97.2%。製品供給前年比 −2.9%。留出油は 5年平均割れ(−13%)で、「供給制約だけで在庫が細い」説の反証として残す。銅 HG=F は 08-14→08-17 で +0.09%(6.600→6.606)。08-20 清算終値は欠ける。銅と製品供給は、需要が価格の主因であることの非確認である。
図 V3. 原油:在庫プラス ≠ 需要崩壊

| パネル | 項目 | 値 |
|---|---|---|
| 海峡 | ホルムズ | 21.6 → 4.9 million b/d |
| 海峡 | バブ・エル・マンデブ | 5.4 → 8.1 million b/d |
| 米需給 | 商業原油 / SPR / ネット | +4.4 / −5.3 / −0.9 |
| 米需給 | 稼働率 / 製品供給 y/y / 留出油 vs 5y | 97.2% / −2.9% / −13% |
| 米需給 | 銅 HG=F | +0.09%(08-14→08-17) |
| 価格 | Brent / STEO 3Q 約 / 差 | 93.58 / ~85 / 8.58 |
次号 WPSR は 2026-08-26。在庫符号反転+稼働率 ≤95.2%+Brent ≤89.29 なら継続命題は棄却。商業原油減かつ留出油再減かつ Brent 93.58 更新(08-27)なら、「公式パスから上に外れているだけ」は棄却される。
W33(08-09→08-16)は BTC −3.096% / ETH −1.845%(CoinGecko historical。BTC 64,861→62,853)。W34 入りの観察経路は、現物 ETF ラッパーの符号反転と 08-19 への集中である。W33 下落の継続でも、準備預金の膨張でもない。週次算出の SSOT は CoinGecko historical。FRED Coinbase の BTC 69,487.60(08-19)は会場差の別系列。ページ表示 73,568.67 は終値に使わない。
W34 ETF は BTC −385.2→+1,107.3、ETH −3.0→+291.9(million USD)。08-19 集中は BTC 46.7%(≈517.1 of 1,107.3)/ ETH 64.0%(≈186.8 of 291.9)。08-16→08-19 の価格は BTC +10.24% / ETH +20.23%(比 ≈1.98)。ETH は金額が小さく価格変化が大きく、金額と価格を比例させる説明は同一窓で壊れている。+1,107.3 million はチャート頁 BTC 時価総額 $1.47T の約 0.075% で、機械的主因にできない。ETF 符号反転 →[相関: 日付一致。金額は時価総額の約 0.075%] 08-16→08-19 価格。
7d ローリングは BTC +15.1% / ETH +23.4% で、ISO 週次とは別窓である。FRED 1年は BTC −39.19%。7d を水準の反転にしない。準備預金 −8,772 →[因果否定] 流動性膨張。08-19 のマクロ同日は因果にしない。BTC–株・BTC–金の相関係数は取得していない。価格キーは 69,291(08-19 CoinGecko historical close)。
図 V4. W34 入りは現物 ETF の符号反転
| 窓 | BTC | ETH | 注 |
|---|---|---|---|
| ETF W33 → W34(million USD) | −385.2 → +1,107.3 | −3.0 → +291.9 | 符号反転 |
| 08-19 集中 | 46.7% | 64.0% | 一過性か未決 |
| ISO W33 | −3.096% | −1.845% | 08-09→08-16 |
| 08-16→08-19 | +10.24% | +20.23% | 日付一致の相関 |
| 7d rolling | +15.1% | +23.4% | ISO 週次と混ぜない |
| FRED 1y | −39.19% | — | 7d を水準反転にしない |
国内 ON RRP の取り崩し余地として読むのは、残高の内訳と合わない。RRPONTSYD は 0.225 billion で H.4.1 合計の 0.06%。SOMA の RRP 364,865 のうち Foreign official は 364,589(99.92%)、残差 Others は 276(0.08%)。ON RRP と SOMA RRP は足さない。準備預金は −8,772 で、金・原油・暗号の上げおよび ETF +1,107.3 と同週でも符号は逆である。内訳は構造の記述であり、価格因果ではない。TGA / 準備 / RRP の 3科目残差は headline にしない。2023 型の ON RRP 取り崩し比較は、過去残高が無いので使わない。棄却条件は、ON RRP が 50 十億ドル超かつ Others が Foreign official を上回る週が 09-16 までに 2週連続、である。
優勢ラベルは分析メモどおり。印刷の二層(ソフト層の NFP −23,000、小売 −0.6%、CPI 予想どおり、PPI ヘッドライン不変 vs 硬い層の PPI コア +0.4%、Empire 20.6、claims 206,000)は矛盾シグナルに留め、headline にしない。原油のホルムズと製品供給を落とす読みになるからである。
| 強気側 | 弱気側 | 優勢 |
|---|---|---|
| ソフト層の印刷 | PPI コア +0.4%、Empire 20.6、claims 206,000、小売当日 DGS10 +5 bp | DGS2 0.00 pp。印刷のどちらも一括原因にしない |
| 金月次 +14.09% | 同一窓 DFII10 0.00 pp、銀年初来 −5.28% | 金利因が欠けたまま金だけが上がった |
| WTI +5.07% / Brent +5.72% | 商業原油 +4.4、製品供給 −2.9%、銅 +0.09%、留出油 −13% | 供給制約側の観察。週次通航量なしで因果の優勢ではない |
| マンデブ 8.1 vs 5.4(増) | ホルムズ 21.6→4.9(減) | 海峡を一つの制約に足せない |
| 暗号 7d +15.1% / +23.4%、ETF 符号反転 | ISO 週次 −3.096% / −1.845%、1年 −39.19%、準備 −8,772 | 観察経路は W34 ETF。金額は mcap 比 0.075% |
| DGS10 −6 bp | DGS2 0.00 pp | sb0607 対象年限と動いた年限が一致 |
| 金・原油・暗号の価格上昇 | 準備 −8,772、ON RRP 0.225 billion | 残高と価格は逆符号 |
記事の主役は、Jackson Hole / 08-26 WPSR / ETF 08-21〜28 の三つである。Jackson Hole 議長講演の公式日時(JST)は未確認。会期は 08-27〜29、観測期日は 08-31。数値%の織り込みは書かない。未来の空欄終値は置かない。
図 V6. 来週の3分岐(結果列なし)

flowchart TD
JH[Jackson Hole 議長講演<br/>会期 08-27〜29 / 観測 08-31<br/>公式時刻は未確認]
JH --> JHb[ベース: 印刷の範囲に留まる<br/>DGS2 は 4.19 近傍<br/>金の金利因は欠いたまま]
JH --> JHu[上振れ: 労働市場を強調<br/>DFII10 が 2.25 を下回る方向<br/>金 4,575.50 維持なら R2 棄却]
JH --> JHd[下振れ: PPIコア +0.4% と Empire 20.6 を強調<br/>DGS2 ≥4.34% by 08-29 なら T4 棄却]
WPSR[EIA WPSR 2026-08-26]
WPSR --> Wb[ベース: 商業原油再増、稼働率 97% 近傍<br/>在庫1系列の需要崩壊は再び棄却]
WPSR --> Wu[上振れ: 商業原油減かつ留出油再減<br/>かつ Brent 93.58 更新 by 08-27]
WPSR --> Wd[下振れ: 在庫符号反転+稼働率 ≤95.2%<br/>+Brent ≤89.29]
ETF[米現物 ETF 08-21〜08-28<br/>価格キー 69,291]
ETF --> Eb[ベース: 08-19 に BTC 46.7% / ETH 64.0%<br/>残営業日は細る]
ETF --> Eu[上振れ: JH 会期中 3営業日連続流入<br/>かつ 69,291 を下回らない by 08-31]
ETF --> Ed[下振れ: 2営業日連続流出かつ 08-28 に 69,291 割れ<br/>または合計 ≤ −500 かつ終値 69,291 超え]
本当の焦点は、9–3 の再確認ではなく、短い金利(DGS2)が初めて動くかである。金は月次で金利因が欠けているので、講演が DFII10 を動かすかが事後的な金利因になる。
本当の焦点は、在庫プラスを需要崩壊と読むか、高稼働 97.2% と海峡制約の残差と読むかである。Brent 93.58 vs STEO 約 85 を次号が追認するか。
本当の焦点は、08-19 集中が一過性か、符号反転が週を跨ぐかである。金額では機械的に説明できない。準備 −8,772 を流入の原因にしない。
結果列は置かない。各洞察の3点セットは次のとおり。