利上げ確率は、政策金利政策金利は、中央銀行が金融政策のスタンスを示すために設定・誘導する金利または金利群です。市場金利に働きかける際の基準となり、多くの中央銀行では短期金利が主な手段ですが、対象や運用方法は国・中央銀行によって異なります。を決める会合の後に金利が上がる可能性を、市場価格などから数値で推計したものです。数値を読むときは、対象となる会合や「利上げ」の定義、算出元を確認します。
定義
FedWatchで示される利上げ確率は、フェデラル・ファンド金利先物の価格に基づき、特定のFOMC会合後に実現する政策金利水準の確率を推計したものです。CMEの方法では、現行水準を上回る金利水準に割り当てられた確率を合計して利上げ確率を求めます。算出には25ベーシスポイント刻みなどの前提が置かれるため、これは前提に基づく市場の推計値であり、FOMCが公表する確率ではありません(CME Group「CMEのFedWatchツール」「CME FRBウォッチ・ツール ユーザーガイド」「Understanding the CME Group FedWatch Tool Methodology」)。
読み方
利上げ確率は、対象とする会合と観測時点をそろえて比較します。たとえば、ある会合後の金利が現行水準を上回る確率と、年末までに一度以上利上げされる確率は、対象とする期間や出来事が異なります。年末時点の金利水準ごとの確率を示す場合もあるため、「年内の利上げ確率」という表現だけでは、何を確率としているか特定できないことがあります。
確率が48%から63%に変わった場合、上昇幅は15パーセントポイントです。確率の相対的な増加率とは異なります。
具体例
参照記事の文脈では、NFP米労働統計局の事業所調査が推計する、米国の非農業部門における給与雇用ジョブ数です。市場で示される前月比の増減は、失業率とは別調査に基づく指標です。が17.2万人で予想の8.5万人を8.7万人上回り、12月FOMCの利上げ確率が48%から63%に上昇したと記されています。ここで確認できる差は、NFPが予想を8.7万人上回ったことと、確率の表示が15パーセントポイント上がったことです。数値の出典や観測時点、算出方法が示されていないため、この記述だけからNFPが確率の変化を引き起こしたとは判断できません。
似た指標との違い
「利上げ予想」は利上げの見込みを示す広い表現で、具体的な確率を指すとは限りません。利上げ確率として数値を示す場合は、どの会合の、どの金利水準や出来事を対象にした推計なのかを明記すると意味が伝わります。
FOMCのドット・プロットは、委員それぞれの政策金利見通しを示します。先物価格から算出する利上げ確率とは、データの出どころも指標の性格も異なります(CME Group「CME FRBウォッチ・ツール ユーザーガイド」)。
この用語を扱う本編記事
詳しくは
- CME Group「CMEのFedWatchツール」:30日物フェデラル・ファンド金利先物の価格データに基づく政策金利変更確率を説明しています。
- CME Group「CME FRBウォッチ・ツール ユーザーガイド」:会合後の金利水準ごとの確率や、ドット・プロットとの違いを説明しています。
- CME Group, “Understanding the CME Group FedWatch Tool Methodology”:算出上の前提と、複数会合の結果から累積確率を計算する方法を説明しています。
- Federal Reserve Board, “Economy at a Glance - Policy Rate”:FOMCがフェデラル・ファンド金利の目標レンジを設定することを説明しています。