米株の業種間格差は続くか、半導体決算と雇用統計の分岐
米株指数の下落と業種別ETFの上昇が併存。半導体決算と雇用統計を受け、テクノロジー関連の相対的な弱さが続くかを検討する。
S&P 500の10月30日終値は7,580.07ポイント、週次では0.57%安だった。Nasdaq Compositeは2.00%安、11本の業種別ETFETFは、金融商品取引所に上場し、取引時間中に市場価格で売買される投資信託です。市場価格は、保有資産を基に算出する1口あたりの基準価額(NAV)と異なることがあります。では9本が上昇し、下げは情報技術と通信サービスに偏った。上昇業種が多い一方でNasdaqの下落が大きかったため、来週もテクノロジー関連の相対的な弱さを基本線とし、半導体決算と雇用統計を受けて見直す。
業種別ETF(上場投資信託)は取引所で売買される投資信託だ。10月23日から30日にナスダック総合指数は2.00%、S&P 500は0.57%下落した一方、11本の業種別ETFでは9本が上昇した。下落したのは情報技術(XLK、-2.03%)と通信サービス(XLC、-5.32%)である。1本を1票として数える集計はETF同士の比較で、個別株の騰落比率や指数寄与は示さない。

大型7銘柄では6銘柄が下落し、テスラだけが上昇した。アルファベットの週次下落率は12.61%で、10月29日単日では12.64%安だった。

アルファベットは10月28日に第3四半期決算を発表した。米国会計基準(GAAP)による1株当たり利益(EPS)は2.12ドルで、APが伝えたFactSet平均予想は約3.01ドルだった。予想EPSはGAAPベースと同じ定義とは限らず、株価下落のすべてを決算に帰属させることもできない。発表日と株価変化日は別である。
FRBは10月28日に政策金利政策金利は、中央銀行が金融政策のスタンスを示すために設定・誘導する金利または金利群です。市場金利に働きかける際の基準となり、多くの中央銀行では短期金利が主な手段ですが、対象や運用方法は国・中央銀行によって異なります。を3.75〜4.00%で据え置いた。一方、米財務省の米2年国債利回りは、10月23日の4.69%から30日の4.56%へ低下した。
前号の主役だった米2年利回りによる短期方向の選択は、指定日の10月28日値が確認できず判定不能だった。10月16日終値水準への株価回復条件も満たさなかった。指定日の観測が欠ける場合は別日の値で代用せず、条件に定めた期日と系列で判定する。
| 前号の条件 | 判定 | 根拠の数値と出典 | 前号の条件の前提の誤り(あれば) |
|---|---|---|---|
| FOMCイベント分類と短期方向を別軸で判定する。イベント分類は、据え置きで声明・会見が追加引き締めの必要性・適切性も急がない姿勢も明示しなければベース、利下げまたは据え置きで急がない姿勢のみ明示なら上振れ、利上げまたは据え置きで必要性・適切性を明示なら下振れとし、両姿勢の明示も下振れとする。10月28日の米2年利回りが10月23日の4.69%を上回れば下押し側、4.69%以下なら方向シグナルなし。この日付比較は会合後の金利変化を判定しない。会合は10月29日03:00、会見は03:30(日本時間)。 | 判定不能 | 政策金利は3.75〜4.00%で据え置き、投票は10対2。反対した2名は0.25ポイントの利上げを希望した。会見が前号の分類条件に当たるか確定できず、指定日の2年利回りも確認できない。出典:公式声明、会見に関する報道、米財務省の利回りデータ。 | なし |
| 10月30日終値でNasdaqが26,140.03ポイント以上、かつSOXXが493.39米ドル/口以上。 | 条件を満たさない | 終値はそれぞれ25,436.998ポイント、471.51米ドル/口で、ともに基準未達。出典:価格データの提供元。 | なし |
| 2026年10月30日米国取引日終値でNasdaqが26,140.03を上回り、Alphabet・Microsoft・Amazonの3社中2社以上が10月23日終値の320.21・524.51・248.00米ドル/株を上回る。 | 条件を満たさない | Nasdaqは25,436.998ポイント。3社の終値は279.84・521.91・240.35米ドル/株で、基準を上回った銘柄は0社。出典:価格データの提供元。 | なし |
| 実質GDPGDP(国内総生産)は、一定期間に国内で生み出された付加価値の合計を示す指標です。実質GDPの成長率は物価変動を除いた生産の伸びを表しますが、GDPだけで暮らし向きや景気の全体像は判断できません。の年率1.7%と個人消費支出物価の前年比3.7%を前号基準とし、10月29日までの米2年利回り・株価で前号焦点3のイベント内分類に従って分類する。前号の共通規則では10月28日の米2年利回りが4.69%以下なら記事全体の方向シグナルなし。公表は10月29日21:30(日本時間)。 | 判定不能 | 実績は年率3.4%、前年比3.6%。10月29日終値はS&P 500が7,720.39、Nasdaqが26,184.721、SOXXが513.86。分類に必要な10月28日・29日の米2年利回りがそろわない。出典:米経済分析局、米財務省、価格データの提供元。 | 当週の資料には別の報道予想として3.0%もある。集計時点などの差を確定できず、前号基準の誤りとは断定しない。 |
| 11本中6本以上が10月23日終値を下回り、S&P 500も7,623.68を下回れば、弱さの相対的な集中を見直す。期限は10月30日終値。 | 条件を満たさない | S&P 500は7,580.07。10月23日終値を下回った業種別ETFは情報技術と通信サービスの2本で、6本に達しない。出典:価格データの提供元。 | なし |
Nasdaqの26,140.03ポイントちょうどは、回復条件の「以上」には含まれるが、大型テック株と組み合わせた条件の「上回り」には含まれない。前号の利回り条件は10月28日の値で判定する規則だったため、10月30日の値で置き換えなかった。株価条件は、NasdaqとSOXXの回復水準に加え、大型テック株の条件も10月30日終値で満たさなかった。
半導体ETFETFは、金融商品取引所に上場し、取引時間中に市場価格で売買される投資信託です。市場価格は、保有資産を基に算出する1口あたりの基準価額(NAV)と異なることがあります。(SOXX)は10月30日に8.2415%下落し、471.51ドル/口で引けた。同日、APはAI関連株の評価への懸念と、インテルの第4四半期見通しが市場予想を下回ったことを報じた。これらの材料とSOXXの下落は同日に観測されたが、個別材料がETF下落を引き起こしたとは断定できない。
AMDは11月4日07:00、クアルコムは11月5日06:45(日本時間)に決算と説明会を予定する。10月31日観測の市場予想は、AMDの売上高が130.8億ドル、クアルコムが101.4億ドルだ。AMDには別掲載の131億ドルという予想もあるため、二つを一つの予想値にまとめない。AMDの会社売上見通しは約130億ドル±3億ドルであり、集計予想とは会社自身の見積もりと外部予測の違いがある。1株当たり利益の予想は定義が示されていないため、分岐条件には使わない。

焦点は売上実績が集計予想とどう違うか、さらに同じ指標・期間・定義で比べられる会社見通しや事業説明が強まるかだ。各社の発表後はその日のSOXXとNasdaq Compositeの終値を、10月30日終値と比べる。単社の結果だけで両資産の方向は定めず、AMDとクアルコムを個別に判定した後、両社の結果を合わせて見る。比較できる会社見通しを確認できない場合、その見通しの判定は不能とする。

節目は観測済み終値で、価格目標ではない。SOXXの上値は478.20ドル/口(10月23日)、493.39ドル/口(10月16日)、下値は471.51ドル/口(10月30日)。Nasdaq Compositeの上値は25,955.34ポイント(10月23日)、26,140.03ポイント(10月16日)、下値は25,437.00ポイント(10月30日)だ。上振れの見立ては11月5日にいずれかが10月30日水準以下なら確認できず、下振れの見立ては両方が同水準以上なら反する。決算後の値動きには他の材料も含まれる。
米供給管理協会(ISM)の製造業景況指数は11月3日00:00、サービス業景況指数は11月5日00:00、米雇用統計は11月6日22:30(いずれも日本時間)の公表予定だ。10月30日時点の集計予想は、製造業54.7、サービス業54.8、非農業部門雇用者数米労働統計局の事業所調査が推計する、米国の非農業部門における給与雇用ジョブ数です。市場で示される前月比の増減は、失業率とは別調査に基づく指標です。が前月比6.5万人増、平均時給が前月比0.3%増、失業率4.2%。雇用者数・賃金・失業率は雇用の規模や賃金、失業の状況を、ISM指数は製造業とサービス業それぞれの景況を示す。これらは集計予想であり、株価の方向を示す確率ではない。
焦点は、景況の強さが米国債利回りの上昇を伴うかだ。利回りが上がれば、将来利益を現在価値に換算する率が高まり、とくに高成長株の評価を抑える経路が考えられる。将来受け取る同じ金額でも、換算に使う率が高いほど現在の価値は小さくなる。ただし、これは条件付きの見立てである。米財務省の系列では10月23日から30日に2年利回りが4.69%から4.56%へ13bp、10年利回りが5.00%から4.94%へ6bp低下しており、足元で金利上昇の経路は確認できない。1bpは0.01パーセントポイントだ。

日付が同じでも、11月6日付の利回りの観測値確率変数 X が試行を実行した結果として実際に観測された具体的な数値 x のこと。試行前の「値が定まっていない箱」が X、試行後に箱から出てきた「具体的な数」が x。を雇用統計の発表直後の反応とは扱わない。
上値の節目はS&P 500が7,623.68、7,659.44ポイント、ナスダックが25,955.34、26,140.03ポイント、SOXXが478.20、493.39ドル/口。下値はそれぞれ7,580.07ポイント、25,437.00ポイント、471.51ドル/口だ。いずれも観測済み終値であり、価格目標ではない。上振れの見立ては11月6日米国終値でナスダックまたはSOXXが各10月30日終値以下なら反証される。下振れの見立ては同日にナスダックとS&P 500がともに各10月30日終値以上なら反証される。
SOXXは月次で17.08%下落した一方、年初来では56.57%上昇し、週次は1.40%安だった。期間によって方向は異なる。月次の下落だけで、年初来の上昇基調が反転したとは判断できない。
日経平均も週次では0.95%上昇したが、10月30日は前日比2.12%下落した。週次の上昇と週末の下落は同時に観測されたが、この対比から日米間の値動きの伝播は推定できない。


同週の市場横断の見立ては市場横断の記事、通貨別の材料は通貨別の記事にまとめた。
10月30日終値を共通の起点とし、イベント後の終値と期日を照合する。
| 主張 | 観測指標 | 閾値 | 期日 |
|---|---|---|---|
| 業種間の相対的な弱さを見直す | XLK・XLCとS&P 500の10月30日比変化率 | XLK・XLCがともにS&P 500を上回る | 11月6日米国終値 |
| AMD発表後の価格方向を確認する | SOXX・Nasdaq Composite終値 | 471.51ドル/口・25,437.00ポイント(10月30日)との上下 | 11月4日米国終値 |
| Qualcomm発表後の価格方向と両社の分岐を確認する | SOXX・Nasdaq Composite終値、両社の売上・会社見通し | 価格は471.51ドル/口・25,437.00ポイント(10月30日)との上下。決算分類は焦点1の条件で判定 | 11月5日米国終値 |
| 雇用シナリオの価格方向を確認する | S&P 500・Nasdaq Composite・SOXX終値 | 7,580.07ポイント・25,437.00ポイント・471.51ドル/口(10月30日)との上下 | 11月6日米国終値 |
| 前号の回復水準を取り戻す | Nasdaq Composite・SOXX終値 | 26,140.03ポイント以上、かつ493.39ドル/口以上 | 11月6日米国終値 |
| 日時(日本時間) | イベント | 市場予想・会社見通し |
|---|---|---|
| 11月3日 00:00 | 米ISM製造業景況指数(10月) | 54.7(9月54.5) |
| 11月3日 07:00 | Palantir Q3決算 | 売上予想21.8億ドル。会社見通しは21.60億〜21.64億ドル |
| 11月4日 07:00 | AMD FY2026 Q3決算 | 売上予想130.8億ドル。別掲載値は131億ドル |
| 11月5日 00:00 | 米ISMサービス業景況指数(10月) | 54.8(9月54.9) |
| 11月5日 06:45 | Qualcomm FY2026 Q4決算 | 売上予想101.4億ドル |
| 11月6日 22:30 | 米雇用統計(10月) | 非農業部門雇用者数+6.5万人、平均時給前月比+0.3%、失業率4.2% |
4件の指標を掲載順に表示。単位: %。
| ラベル | 値(%) | グループ | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2年・10月23日 | 4.69% | — | — |
| 2年・10月30日 | 4.56% | — | — |
| 10年・10月23日 | 5% | — | — |
| 10年・10月30日 | 4.94% | — | — |