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コモディティ週次: ホルムズ再開で原油 -8.9%、FOMC 圧力で金 -2.1% — 2026-W25

コモディティ 8 銘柄中 7 銘柄が下落したが、原油はホルムズ海峡再開、金は FOMC の実質金利上昇、銅は米関税と下落要因は別系統だ。年初来では原油 +35.1% と金 -4.3% に二極化している。

WTI 原油が週次 -8.9%($84.88 → $77.33/bbl)、金が -2.1%($4,238.80 → $4,151.74/oz)で引けた。8 銘柄中 7 銘柄が週次マイナスで「コモディティ総崩れ」に見えるが、下落を動かした力はアセットごとに別系統だ。原油は 6 月 17〜18 日の米・イラン MOU 署名とホルムズ海峡の通行制限解除、金は 6 月 17 日 FOMC のドット中央値引き上げ(3.4%→3.8%)と実質金利の急騰。同じ週に同方向へ動いたのは別系統の力が重なった偶然だ。

今週の結論(3 行)

  • WTI 原油は週次 -8.9% だが、年初来は $57.26 から +35.1% 高い水準にある。ホルムズ通過船は戦前比 22% の回復に留まり、剥落はまだ初動だ。ただし会談キャンセルで短期は双方向に振れうる
  • 金は 3 週連続下落で年初値($4,339.65)を -4.3% 下回り、30 週ぶりの安値水準。ただし FOMC 発の実質金利上昇は週内 +9bp 後に +4bp 着地まで戻し、下押しの燃料は週内に約 5 割強消えた
  • 銅は年初来 +12.6% で今週の下げは -1.7% にとどまる。COMEX-LME スプレッドが最大 26%(米関税 25% に対応)まで拡大しており、関税の壁が下値を支えている

数字で見る今週

コモディティ2026-06-12→2026-06-19 終値ベース(価格は 6/19 終値)
銘柄価格週次月次年初来
WTIWTI 原油77.33-8.90%-21.30%+35.10%
BZ=Fブレント原油80.59-7.70%+31.40%
XAU4,151.74-2.10%-8.50%-4.30%
XAG64.89-4.50%-9.90%
HG=F6.34-1.70%+12.60%
NG=F天然ガス3.20+2.50%-7.00%
PL=Fプラチナ1,668.20-2.60%-17.90%
PA=Fパラジウム1,263.50-2.20%-8.20%-23.70%

週次変化率は 6/12(W24 末)→6/19(W25 末)基準。6/13(W25 前週末)の確定終値は一次ソースで取得不可のため、W24 末を起点とした。6/19(金)は米 Juneteenth 祝日で薄商いだった点に留意が必要だ。天然ガスの +2.5% は 6/12($3.120)→6/19($3.198)の計算値(+2.50%)を反映している。W25 暦週(6/9-13)の確定終値は取得不可のため期間定義に注意する。WTI 年初来 +35.1% は FRED 確定値 $57.26(2025-12-31)ベースの計算値。

コモディティ 8 銘柄の週次リターン — 7 銘柄がマイナスも下落要因は別系統
出典: Yahoo Finance API v8 / Trading Economics / BullionVault(2026-06-21 取得)。2026-06-12(W24 末)→2026-06-19(W25 末)終値ベース。6/19 は米 Juneteenth 祝日薄商い。
詳細データEIA 週次石油在庫(6/12 終了週、6/17 発表)
指標変化量水準備考
原油在庫(SPR 除く)-8.262 百万 bbl418.2 百万 bbl予想 -4.6M の約 1.8 倍の取り崩し
クッシング在庫-1.606 百万 bbl
ガソリン在庫-0.906 百万 bbl214.2 百万 bbl
留出油在庫+0.951 百万 bbl103.1 百万 bbl
製油所稼働率+1.4 pp国内処理は増加
製油所クルードラン+230,000 bbl/日
純輸入量-241,000 bbl/日

出典: EIA 週次石油在庫報告(2026-06-17 発表)

詳細データEIA 天然ガス在庫(6/12 週、6/19 発表)
指標
稼働ガス在庫2,759 Bcf
週次変化+73 Bcf(予想 +75 Bcf をわずかに下回る)
前年比-1%
5 年平均比+5.8% 超過

エネルギー(原油・天然ガス)

原油: ホルムズの航路が決めた週

WTI 原油は $84.88 から $77.33/bbl へ -8.9% 下落した。月次では -21.3% で、今年 2 月末の紛争開始以来 $114〜$120/bbl まで積み上がっていた戦争プレミアムが急速に剥落した。

値動きの起点は 2 つのイベントだ。6 月 17 日、米大統領とイランのペゼシュキアン大統領が MOU(覚書)に署名し、ホルムズ海峡の 60 日間無通行料開放と 30 日以内の機雷除去(米推定では完全除去に最大 6 か月)が明記された。翌 18 日、米中央軍がイラン港湾・沿岸水域への通行制限を解除し、サウジ所有を含む初の商業タンカーがオマン/イラン沿岸ルートを通過した。

なぜこれほど大きく動いたかを理解するには、2 つの数字の対比が有効だ。ホルムズ海峡の紛争前の石油通過量は約 20 mb/d(EIA 確定値)だった。それに対し、OPEC+ が 7 月も継続すると決めた増産量は 0.188 mb/d(サウジ・ロシア各 62,000 bpd など 7 か国合計 187,000 bpd)だ。ホルムズの通過量は OPEC+ 増産のちょうど 106 倍にあたる。

今週の 6 月全体で通過量は 5.1 mb/d まで回復した(3 月 2.2→4 月 3.3→5 月 2.9→6 月全体 5.1 mb/d)。5 月末比の回復増分だけで +2.2 mb/d となり、これは OPEC+ 増産の約 12 倍のサイズだ。「増産が原油安の主因」という仮説はこのサイズ差で定量的に否定される。MOU 署名・解除の時系列と価格急落の一致がホルムズを主因とすることを支持する。原油を動かしたのは産油国の蛇口ではなく、海上輸送ルートの管理者だった。

ただし価格の剥落は初動に過ぎない。ホルムズ通過船は現状で約 20 数隻/日にとどまり、戦前の 100 隻超と比べると回復率は約 22% だ。通過量も戦前 20 mb/d に対し当週は 3〜4 mb/d 推計で、なお約 4 分の 3 が正常化されていない。年初 $57.26 に対して現値はまだ +35.1% 高い。

詳細データホルムズ海峡 石油通過量の月次推移
時点石油通過量(推計)備考
紛争前(2025 年)約 20 mb/dEIA 確定値
2026 年 3 月(完全閉鎖後)約 2.2 mb/dKpler 推計
2026 年 4 月約 3.3 mb/d
2026 年 5 月約 2.9 mb/d
2026 年 6 月(MOU 含む)約 5.1 mb/dMOU 署名(6/17)含む月全体
W25 当週(6/9-13)推計約 3〜4 mb/dMOU 署名前。週次粒度データは取得不可

Goldman Sachs 推計では MOU 後に Arabian Gulf 全体(パイプライン迂回含む)で約 11 mb/d まで回復しており、紛争前比約 55% の水準。

出典: EIA、SpeedCommerce、Goldman Sachs(CNBC 経由)

詳細データOPEC+ 7 月増産の内訳(2026-06-08 決定)
増産量(bpd)
サウジアラビア62,000
ロシア62,000
イラク26,000
クウェート16,000
カザフスタン10,000
アルジェリア6,000
オマーン5,000
合計187,000

補償期限は 2026 年 12 月末まで延長。次回会合は 2026 年 7 月 5 日。なお一次ソース(Gulf Insider)の見出しは「188,000 bpd」と記載しているが、国別内訳の算術合計は 187,000 bpd となる。

もう一つの矛盾シグナルがある。EIA 原油在庫は今週 -8.262 百万 bbl と、予想 -4.6 百万 bbl の約 1.8 倍の取り崩しを記録した。クッシング在庫も -1.606 百万 bbl、ガソリンも -0.906 百万 bbl と三重の取り崩しだ。製油所稼働は +1.4pp 上昇し、処理・需要は増加している。実物需給は引き締まっているのに価格は -8.9% という真逆の動きだ。

この矛盾の説明は時点のズレにある。EIA 在庫が対象とした週は 6 月 12 日終了分(ホルムズ解除前)で、価格を動かした地政学情報(6/17 MOU・6/18 解除)より 1 週間古い。価格が先取りした緩和期待が、在庫の強さを時間的に上書きした。

さらに 6 月 12 日週の米原油輸出は 4,327 千 bbl/日(前週の 5,874 千 bbl/日から -26%)と急減した。輸出が減れば在庫は積み増し方向に働くはずだが、実際の在庫は記録的な取り崩しだった。この一見矛盾する数字は、ホルムズ危機によるアジア向け輸送ルートの迂回コスト増で出口が詰まった「配管の歪み」として整合する。通過船の回復率(22%)と輸出の急減は同一の物理現象の表と裏だ。

6 月 20 日(金)には計画されていたスイスでの米・イラン会談が直前でキャンセルされ、原油は乱高下した。ホルムズ正常化が「期待先行・実体半ば」の段階にある以上、短期 1〜2 週は双方向のリスクが残る。

通過量は紛争後の 3 月(2.2 mb/d)から 6 月全体(5.1 mb/d)まで回復したが、紛争前 20 mb/d の約 4 分の 1 に過ぎない。MOU 署名(6/17)後の物理回復は始まったばかりだ。

天然ガス: 在庫バッファが上値を抑制

天然ガスは 6/12→6/19 で +2.5%($3.120→$3.198/MMBtu)。W25 暦週(6/9-13)の確定終値は一次ソースで取得できなかったため、ここでは本稿共通の 6/12→6/19 基準で表示する。W25 暦週(6/9-13)の実態については東部熱波による空調需要増で週前半に $3.41/MMBtu まで急騰し、前週末比では概ね横ばい〜小幅高だったと推定されている。

在庫は 2,759 Bcf(+73 Bcf 注入)で 5 年平均を +5.8% 上回る。EIA の短期エネルギー見通しでは 2026 年下半期(6〜12 月)平均の Henry Hub は $3.34/MMBtu を予想しており、現値 $3.198 からの上昇余地は +4.4% 程度に留まる。供給バッファが潤沢な以上、熱波の需要パルスが持続しない限り上値は限定的だ。

貴金属(金・銀)

金: 燃料が週内に半分強消えた

金は 3 週連続下落で $4,151.74/oz(BullionVault が「30 週ぶりの金曜安値」と評価)。週次 -2.1%、月次 -8.5%、年初来 -4.3% と三段に悪化している。

今週の下押し要因は FOMC だ。6 月 17 日、新議長 Kevin Warsh の初会合でドットプロット中央値が 3.4%→3.8%(+40bp)に引き上げられ、19 人中 9 人が年内追加利上げを支持した。DXY は 6/19 セッション高値 101.13(52 週高値)まで上昇し、終値 100.79 で引けた。

金を動かした本質は名目金利でなく実質金利(TIPS)の変動だ。10 年 TIPS 実質利回りは FOMC 当日 6 月 17 日に +9bp 跳ねて 2.23% のピークを付けた。金は無利息資産なので実質金利が上がると相対的な機会費用が高まり売られる。この因果は教科書通りに機能した。

ただし「燃料が週内に半分強消えた」点が重要だ。TIPS 実質利回りはその後すぐ戻し、6 月 19 日には 2.18% まで低下した。週初比で見ると +4bp の着地に過ぎない。+9bp の「燃料」のうち約 5 割強(5bp 分)が週内で消えた計算だ。「実質金利が一段高で居座る」局面ではなく、過去の持続的な利上げサイクルによる金安局面と比べると下押し力の持続性は弱い。

Goldman Sachs は 6 月 19 日に年末金価格目標を $5,300 から $4,900 へ $500 下方修正した(利上げシナリオでは $4,400 も試算)。ただし現値 $4,151.74 から Goldman の中心目標 $4,900 は +18% 上にあり、中期目線では「下げ過ぎ」評価だ。

金は年初値 $4,339.65(goldprice.org 確定値)を -4.3% 下回って既に年初値割れしており、年初値が下値の引力(下支え)として機能する段階に入っている。機関投資家が年初来リターンをベンチマークで管理している水準であるため、さらに売り込むより反発狙いの買いが入りやすい。ATH(2026 年 1 月 28 日 $5,589.38)からは -25.7% の水準だ。

金と実質金利の関係

金の価格は名目金利でなく、インフレ調整後の「実質金利」と逆相関する。実質金利が上昇すると、金(無利息)を保有する機会費用が増すため売られやすくなる。今週の指標は 10 年 TIPS(物価連動国債)の利回り(6/17 ピーク 2.23%)。週末には 2.18% まで戻しており、+9bp の「燃料」は週内に約 5 割強消えた。

FOMC 6 月会合(6/17)の前後比較 — ドット +40bp、TIPS は週内に半分強戻した
出典: FRB FOMC 声明・ドットプロット(6/17)/ FRB H.15 TIPS 10 年利回り / TMGM DXY 6/19 レポート / Bloomberg Goldman Sachs 目標修正(2026-06-21 取得)。

銀: 金の 2.2 倍下落したが逆張りは両刃

銀は週次 -4.5%($67.97→$64.89/oz)で、金の -2.1% に対して約 2.2 倍の下落幅だ。金銀レシオは W24 の 62.36 から W25 の 63.98 へ拡大し、銀が金より速く売られたことを示す。

銀は産業用途(半導体・太陽光パネル等)も持つため、工業需要懸念とレバレッジの巻き戻しが同時に走る構造だ。建玉・ETF フローのデータが取得できなかったため、2 つの経路の分解はできないが、年初来ベータ(銀/金 = -9.9% / -4.3% ≒ 2.30 倍)と後半週ベータ(-4.53% / -2.05% ≒ 2.21 倍)がほぼ一致することは「高ベータ」の方向性の一貫性を裏付ける。

年初来 -9.9% で年初値(約 $72/oz)を大きく割り込んでいるが、高ベータは戻りも速い。逆張りの反発を狙うならハイベータの代理として有効だが、下落が深い分リスクも大きい。

産業金属(銅)

銅は週次 -1.7%($6.445→$6.337/lb)にとどまり、週末にかけて持ち直した。米・イラン和平報道がグローバル成長期待を回復させたことが下値を支えた。

年初来 +12.6%(年初 LME $12,425/t = 約 $5.63/lb → $6.337/lb)は、コモディティ内で原油を除けば唯一の 2 桁プラスだ。この独歩高を支えているのは COMEX-LME スプレッドの拡大だ。スプレッドは最大 26% まで広がっており、米銅関税 25% にほぼ一致する。関税分がそのままスプレッドに転嫁され、COMEX 建値が割高化することで年初来のプラスが支えられている構造だ。

需要面では中国の銅消費(電力・輸送・家電・建設 4 セクター合計)が 2026 年は +0.7% 増の見込みで、2025 年の +2.6% から大幅に鈍化している。需要の細りが上値を抑え、関税プレミアムが下値を支える。結果としてレンジ相場が続きやすい構造だ。

COMEX と LME の 2 つの銅市場

銅は COMEX(ニューヨーク)と LME(ロンドン)の 2 市場で取引される。通常は地域間裁定でほぼ同じ価格になるが、米国が輸入銅に 25% の関税をかけると「米国内の COMEX 価格 > 国際指標の LME 価格」という構造的な割高が生まれる。このスプレッドは今週最大 26% まで拡大しており、米国と世界の銅市場が物理的に分断された状態を示す。

PGM(プラチナ・パラジウム)

プラチナは週次 -2.6%($1,712.2→$1,668.2/oz)、年初来 -17.9%。パラジウムは週次 -2.2%($1,291.5→$1,263.5/oz)、月次 -8.2%、年初来 -23.7%。

PGM の下落は金や銀とは性格が違う。金融要因(実質金利・ドル)でなく、電気自動車(BEV)普及による内燃機関の減少が触媒需要を構造的に削っている。自動車 1 台あたりの触媒では、パラジウムはガソリン車向け、プラチナはディーゼル車向けに主に使われる。BEV シフトが進むほど両銘柄の需要基盤が縮む構造で、金融政策が変わっても逆転しない。景気後退期に需要が蒸発する「循環的下落」と、EV シフトによる「構造的下落」は性格が異なり、後者は金利低下で戻らない。

プラチナについては Bank of America が年末目標 $3,000/oz(現値から +79.8%)を維持しており、見方が割れている。PGM を一律に「構造下落継続」とまとめることは難しい。

一段深い視点

今週のコモディティ安は別系統の下落が重なった週

8 銘柄中 7 銘柄が週次マイナスで「コモディティ全面安=リスクオフ」と速報的にまとめたくなるが、価格を動かした力はアセットごとに別系統だ。

配管フレームワーク

今週のコモディティ下落を動かした「管」は別々に存在した。原油は物理輸送の管(ホルムズ海峡の航路)、金・銀は金融の管(FOMC による実質金利上昇とドル高)、PGM は構造の管(EV シフトによる触媒需要減)、銅は関税の管(米通商政策による COMEX-LME 分断)、天然ガスは内生的な供給の管(在庫バッファと熱波需要の綱引き)だ。管ごとに動かした主体が違う以上、「来週も全面安が続く」とは言えない。

管の種類今週の動き(週次)動かした主体サイズ根拠
物理輸送WTI -8.9%、ブレント -7.7%米中央軍(通行制限解除)ホルムズ 20 mb/d >> OPEC+ 増産 0.188 mb/d(1/106)
金融金 -2.1%(年初来 -4.3%)、銀 -4.5%(年初来 -9.9%)FOMC(実質金利 +9bp、DXY 52 週高値)銀は金の 2.2 倍下落
構造プラチナ -2.6%(年初来 -17.9%)、パラジウム -2.2%(年初来 -23.7%)BEV 普及(自触媒需要減)金融スイッチでは回復しない深さ
関税銅 -1.7%(年初来 +12.6%)米通商政策(関税 25%)COMEX-LME スプレッド 26% ≒ 関税率
内生的供給天然ガス +2.5%(年初来 -7.0%)在庫バッファ vs 熱波需要在庫 5 年平均 +5.8% が上値抑制

同じ週次マイナスでも YTD の向きは二極化している

今週は 8 銘柄中 7 銘柄が週次マイナスで揃ったが、年初来の向きは真逆に割れている。WTI +35.1%、ブレント +31.4%、銅 +12.6% がプラス側、金 -4.3%、銀 -9.9%、天然ガス -7.0%、プラチナ -17.9%、パラジウム -23.7% がマイナス側だ。

年初来リターンで見ると、プラス側は原油(WTI +35.1% / ブレント +31.4%)と銅(+12.6%)、マイナス側は天然ガス(-7.0%)・金(-4.3%)・銀(-9.9%)・プラチナ(-17.9%)・パラジウム(-23.7%)に分かれる。今週全銘柄がほぼ同方向に動いても、年初来の立ち位置は真二極に分かれている。

「全面安だから一律逆張り買い」も「全面安だから一律順張り売り」も、この二極化が否定する。

原油は年初 $57.26 からまだ +35.1% 高く、高所からの剥落のまだ途中にある。銅は関税プレミアムが下値を支え、逆張りで最も下値が硬い。金は FOMC による実質金利ショックの燃料が週内に半分強消えており、さらに年初値割れで年初値が下支えになる二重の制約がある。順張りの射程が最も短い。パラジウムは金融スイッチに反応しない構造下落で、逆張りが最も危険だ。

ただし、この二極化は年初来の慣性であって、来週以降も続く直接証拠はない。

原油の在庫と価格が真逆を向いた週

EIA 在庫取り崩し(-8.262M bbl)と価格急落(-8.9%)が同じ週に起きたのは、価格が先行してニュースを織り込んだためだ。在庫対象週(6 月 12 日終了)はホルムズ解除(6 月 18 日)より 1 週間前の数字で、時点のズレがある。

加えて、製油所クルードラン +230,000 bbl/日 と純輸入 -241,000 bbl/日 を週換算すると計約 3.3 百万 bbl の説明が得られるが、実際の取り崩し 8.262M bbl の約 40% しか説明しない。残り 60% の帰属(国内需要増か EIA 統計の調整項)は今回の情報では確定できなかった。

EIA 在庫の強さと米原油輸出の急減(-26%)は「紛争による供給途絶の遅行的な名残」として整合する。通過船の回復(22%→正常化)と通過量の積み上がり(戦前比 1/4→回復)が進めば、輸出は増加に転じ在庫は積み増し方向に転換するはずだ。これは「双方向リスクのうち下方向シナリオを支える根拠」として機能するが、会談キャンセルのような不確実性が随時混入するため、原油の向きは来週も双方向に開いている。

在庫が強いのに価格が弱い謎の解き方

「在庫取り崩し = 需給タイト = 強気」という連想は正しいが、それは「ニュースが同時」の前提がある。今週は価格を動かしたニュース(ホルムズ解除)と在庫データ(解除前の週)の間に 1 週間の時間差があった。市場は古いデータより新しいニュースを優先する。在庫の強さは「物理は依然タイト」という事実であり、プレミアム剥落の規模に上限を設ける引力として機能する。

関連記事

来週の注目点(コモディティ)

日付イベント注目ポイント
2026-06-26(金)米コア PCE 5 月コンセンサス前年比 +3.4%。超過ならドル高・実質金利上昇で金への追加圧力。下振れなら金の反発材料
2026-07-05(土)OPEC+ 次回会合8 月分の増産継続か縮小かを決定。ホルムズ回復状況との組み合わせで WTI の方向性が変わる

コア PCE が +3.4% を超えて確認されれば 10 月利上げ観測が一段と強まる(FOMC ドットが PCE 通年 3.6% に引き上げた直後の発表のため特に注目される)。金にとっての最大リスクシナリオだ。

原油については、スイス会談キャンセルを受けたイランの出方と、機雷除去の進捗(完全除去に最大 6 か月の見通し)が週次の方向を左右する。

ソース

一次ソース(数字の裏取り)

  1. Trading Economics — WTI 原油スポット価格 — https://tradingeconomics.com/commodity/crude-oil (2026-06-21 取得)
  2. OilPrice.com — ブレント原油価格チャート — https://oilprice.com/oil-price-charts/ (2026-06-21 取得)
  3. Trading Economics / Kitco — 金スポット価格 — https://tradingeconomics.com/commodity/gold ; https://www.kitco.com/charts/gold (2026-06-21 取得)
  4. BullionVault — 金 $4,151.74/oz・30 週ぶりの安値(2026-06-21 取得)— https://www.bullionvault.com/gold-news/gold-price-news/gold-price-warsh-fed-061920261
  5. Yahoo Finance API v8 — 銀・銅・天然ガス・プラチナ・パラジウム・ブレント終値 — https://query2.finance.yahoo.com/v8/finance/chart/ (2026-06-21 取得)
  6. EIA 週次石油在庫 — 原油在庫 -8.262 百万 bbl(6/12 週)— https://www.eia.gov/petroleum/supply/weekly/ (2026-06-21 取得)
  7. EIA 天然ガス在庫 — +73 Bcf 注入(6/12 週)— https://www.eia.gov/naturalgas/storage/ (2026-06-21 取得)
  8. Federal Reserve — FOMC 6/17 声明・ドットプロット — https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20260617a.htm (2026-06-21 取得)
  9. Federal Reserve H.15 — TIPS 10 年実質利回り — https://www.federalreserve.gov/releases/h15/ (2026-06-21 取得)
  10. TMGM — DXY 6/19 高値 101.13・引値 100.79 — https://www.tmgm.com/en/analysis/market-news/article/united-states-dollar-index-dxy-eases-from-10113-highs-but-remains-near-yearly-highs-202606190946 (2026-06-21 取得)
  11. Bloomberg — Goldman Sachs 金目標 $4,900 に下方修正 — https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-06-19/goldman-sachs-lops-500-off-gold-target-on-no-fed-cuts-this-year (2026-06-21 取得)
  12. Gulf Insider / IndexBox — OPEC+ 7 月増産 188,000 bpd 決定 — https://www.gulf-insider.com/7-opec-nations-announce-second-straight-188000-bpd-output-increase-for-july/ (2026-06-21 取得)
  13. Wikipedia / CNBC — ホルムズ海峡危機・MOU 署名 — https://en.wikipedia.org/wiki/2026_Strait_of_Hormuz_crisis ; https://www.cnbc.com/amp/2026/06/18/strait-hormuz-reopening-shipping-oil.html (2026-06-21 取得)
  14. EIA Today in Energy — ホルムズ海峡紛争前通過量 約 20 mb/d — https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=65504 (2026-06-21 取得)
  15. SpeedCommerce — ホルムズ月次通過量推移(3〜6 月)— https://www.speedcommerce.com/insights/how-much-of-the-worlds-shipping-goes-through-the-strait-of-hormuz/ (2026-06-21 取得)
  16. EIA 原油輸出週次 WCREXUS2 — 6/12 週米原油輸出 4,327 千 bbl/日 — https://www.eia.gov/dnav/pet/hist/LeafHandler.ashx?n=PET&s=WCREXUS2&f=W (2026-06-21 取得)
  17. EIA STEO 2026 年 6 月 — 天然ガス需要・価格見通し — https://www.eia.gov/outlooks/steo/report/natgas.php (2026-06-21 取得)
  18. goldprice.org — 金 2025-12-31 終値 $4,339.65/oz — https://goldprice.org/gold-price-today/2025-12-31 (2026-06-21 取得)
  19. FRED(Federal Reserve St. Louis)— WTI 年初値 $57.26 / ブレント $61.35(2025-12-31)— FRED DCOILWTICO / DCOILBRENTEU (2026-06-21 取得)
  20. Kitco — プラチナ・パラジウム BofA 年末目標 — https://www.kitco.com/news/article/2026-06-09/platinum-palladium-extend-losses-bank-america-maintains-bullish-year-end (2026-06-21 取得)
  21. Investing.com / CNBC — FOMC ドットプロット 3.4%→3.8% — https://www.cnbc.com/2026/06/17/fed-interest-rate-decision-june-2026.html (2026-06-21 取得)
  22. mygoldcalc.com — 金日次価格(6/6: $4,328.60 / 6/13: $4,210.91)— https://mygoldcalc.com/gold-price/2026/06 (2026-06-21 取得)
  23. AGA Natural Gas Market Indicators — 天然ガス W25: 6/10 に $3.41/MMBtu — https://www.aga.org/research-policy/resource-library/natural-gas-market-indicators-june-11-2026/ (2026-06-21 取得)