ボラティリティ
金融でいうボラティリティは、資産価格の変動の大きさを示す尺度です。上昇・下落の方向や、投資リスク全体をそのまま表すものではありません。
ボラティリティ(volatility)は、金融では資産価格の変動の大きさを表す尺度です。
一定期間に価格がどれほど変動したかを表します。オプション取引などでは、日々の価格変化の標準偏差標準偏差は、数値データが平均の周りにどの程度散らばるかを表す尺度で、分散の正の平方根です。分散の分母は、対象データ全体の記述か標本からの推定かによって異なります。を年率換算し、%で示す方法がよく使われます(日本取引所グループ〈JPX〉「ボラティリティ」用語集、Options Industry Council「Technical Information」)。変動の大きさを示すため、価格が上がるか下がるかという方向は表しません。
ヒストリカル・ボラティリティ(HV)は、過去の価格変化をもとに測った変動の大きさです。観測期間や計算方法によって値が変わり、過去の値だけで将来の変動が決まるわけではありません(Options Industry Council「Technical Information」)。
インプライド・ボラティリティ(IV)は、現在のオプション価格をモデルに当てはめて逆算する値です。市場価格に織り込まれた将来の変動予想を示し、実際に起きた変動を測った値とは異なります。ボラティリティはオプション価値に関わる要素の一つです(JPX「ボラティリティ」用語集、Options Industry Council「Technical Information」)。
統計でばらつきを表す尺度には分散分散は、データが平均の周りにどれほど散らばっているかを表す統計量です。各データと平均との差(偏差)を二乗して平均し、元データの単位の二乗で表します。や標準偏差などがあります。金融でボラティリティを数値化するときは標準偏差を使うことが多く、分散は標準偏差の二乗です。両者は単位も異なるため、同じものとして扱いません(NIST「Measures of Scale」)。
ボラティリティは投資リスクを考えるときの手がかりになりますが、リスク全体と同義ではありません。投資リスクには不確実性や金銭的損失の可能性も関わり、価格変動はその一側面です(米国証券取引委員会〈SEC〉Investor.gov「What is Risk?」)。
仮に、ある資産の年率ボラティリティが20%と算出されたとします。この値は、決められた方法で価格変化のばらつきを年率換算したものです。「価格が必ず20%上下する」という予告や上限・下限ではなく、上昇・下落の方向も示しません。