本文へスキップ

来週: NFP一点で4過熱が裁かれる。米2Y 4.09%を支点とした決定先送り週

動かぬ米2Y 4.09%を支点に、円ショート・BTC ETF流出・SOXX急落・原油月次急落の4過熱フローが7/2(木)21:30 JSTの米NFP一点で同時に裁かれる。7/3 NYSE・CME休場の実質4営業日週、NFP後の薄商いがオーバーシュートを増幅しうる。

7月2日(木)21:30 JST(7/4 独立記念日の前倒し発表)、米雇用統計(NFP 6月分、コンセンサス+130K)が来週を規定する単一触媒だ。動かぬ米2年国債利回り4.09%(週次-1bp)が支点となり、CFTC円ショート52週1.4%パーセンタイルの過密・BTC現物ETF7週連続純流出(週間-$1.79B、史上2位)・SOXX週次-7.74%急落・WTI月次-21.93%の4過熱フローが宙吊りのまま来週に持ち込まれた。7/3(金)NYSE・CME休場(独立記念日観測日)で実質4営業日週となり、NFP直後の方向へオーバーシュートが乗りやすい配置だ。

先週の振り返り

先週 2026-06-22〜2026-06-26 NY終値ベース(利回りは週次bp変化・それ以外は週次%。SSOT: 02-research-brief 統合スナップショット 2026-06-28取得)
銘柄価格週次月次年初来
SPXS&P 5007,354.02-1.95%-3.01%+7.43%
NDXNasdaq 10029,118.24-4.24%-2.88%+15.70%
N225日経 22569,360.88-2.65%+6.71%+37.78%
USDJPYドル円161.69+0.25%+1.46%+3.37%
DXYドル指数101.36+0.51%+2.48%+3.13%
EURUSDユーロドル1.14-0.60%-2.22%-3.04%
WTIWTI 原油68.86-9.40%-21.93%+18.90%
XAU4,087.01-3.00%-6.40%
BTCBitcoin60,229.89-6.10%+18.20%-31.20%
ETHEthereum(暫定)1,579.87-8.60%+21.40%-46.50%
米10Y米10年利回り4.39-7.00%
米2Y米2年利回り4.09-1.00%

: SPX -1.95%/NDX -4.24%と大型テック主導で指数が下落した裏で、IWM(Russell 2000)+1.43%・S5TH(S&P 500 equal-weight)+5.29pt(63.54%)と市場の裾野は逆方向へ広がり、「指数≠市場」の二層構造が鮮明になった。為替: DXY +0.51%の寄与の91.7%は欧州通貨3通貨(EUR/CHF/SEK)への強さによるものであり、USD/JPY +0.25%は介入トリガー162.00まで+0.19%に接近したまま膠着した。コモディティ: 米・イラン和平交渉の進展でWTI月次-21.93%(2/27戦前水準$68.86に回帰)・金週次-3.0%と、原油・金から地政学プレミアムが同時に剥落した。仮想通貨: BTC現物ETFが週間-$1.79B(史上2位)の純流出を計上したが、6/25 -$696M → 6/26 -$444.5Mと減速の芽が出ており、先物OI -18.4%(30日前比)は強制清算でなくETF償還主導の下落であることを示す。

来週の構造

来週は中銀会合のない週だが、米2年国債利回り4.09%という動かぬ前端が4つの過熱フローを同時に宙吊りにする異例の配置だ。円ショート(CFTC 52週1.4%パーセンタイル)・BTC現物ETF7週連続流出・SOXX週次-7.74%・原油月次-21.93%の4フローはいずれも、米日金利差268bp(4.09%-1.41%)またはFedWatch 7/29 Hold 69.0%という米前端の値付けに固定されており、その土台が動かない限り方向が定まらない。7/2(木)21:30 JSTの米NFP(コンセンサス+130K)が、この4フローを同時に裁定する単一触媒として機能する構造だ。

NFP上振れ(+180K超またはUR 4.1%または時給4.0%超)なら9月利上げ確度が上がり、円ショート継続・ETF流出加速・NDX続落・原油Phase 2入り遅延へ。下振れ(+80K割れまたはUR 4.4%以上)なら円ショートsqueeze・リリーフラリー・SOXX全戻し試し・oversold bounceへと4フローが同時に動く。7/3(金)NYSE・CME休場(独立記念日観測日)で実質4営業日週となり、NFP直後の方向へのオーバーシュートが増幅されやすい。

来週のマクロ・イベント

中銀の現在地

来週は中銀会合なし。CME FedWatch 7/29 FOMC = Hold 69.0% / +25bp 31.0%。9/16の+25bp累計確率は46.7%で「7月Hold・9月以降利上げ」が中心シナリオとなっている。ただしHold確率が6/25 PCE後に64.6%→69.0%(+4.4pt)と上昇した根拠は月次ヘッドラインが予想を0.1pt下回ったことに依存する薄い土台で、同日発表のコアPCE +3.4%(2023年10月以来最高)・スーパーコア +3.88%(対目標+188bp)は逆向き(タカ側)だ。7/2 NFPがこの「薄い土台」の強度を試す。

背景4中銀タカ派同期の内訳(BOJ・ECB・BOE・FOMC)

Warsh FOMC(6/17): 声明文を341語→130語に短縮(ガイダンス放棄の象徴)。ドットプロット中央値3.4%→3.8%(18名中9名が年内追加利上げ想定)。

BOJ(6/16): +25bp→1.00%(1995年9月以来31年ぶり高水準)、7-1の投票(反対: 浅田委員)。BOJ次回7/30〜31。7月利上げ確率36%、10月累積79.5%。JGB2Y 1.41%(政策金利に対して+41bp先食い済み)。

ECB(6/11): +25bp→預金ファシリティ2.25%(8回連続利下げから反転)。ラガード総裁が2026年ユーロ圏成長率0.8%に下方修正し「データ依存」で追加コミットせず。

BOE(6/17〜18): 3.75%据え置き(タカ派票2名に増加: Greene・Pill)。

4中銀が表面上は同期して引き締めバイアスを持つが、速度と震源は分散している。米=サービス粘着、欧=エネルギーショック(原油崩落で震源が反転中)、日=正常化途上という異なるエンジンで並行して動いており、協調的引き締めではない。

来週カレンダー

日付(JST)イベントコンセンサス / 織り込み
6/30(月)終日Q2末リバランス + MOF 6月介入額(5/28〜6/26)公表NDX +22.82% vs 米総合債 -0.06%(差+22.88pp)/ MOF前期¥11.7兆
7/1(火)18:00ユーロ圏HICP 6月フラッシュ前年比3.1%(5月3.2%)
7/1(火)23:00米ISM製造業PMI(6月)~53.0(前回54.0)
7/1(水)23:30EIA週次石油在庫(6/26週)前週-6.088百万バレル
7/2(木)21:30米雇用統計 NFP(6月分)+130K / 失業率4.3% / 時給3.9%
7/2(木)23:30EIA週次天然ガス在庫前週+76 Bcf
7/3(金)終日NYSE・CME休場(独立記念日観測日)実質4営業日週

NFP × 4アセット シナリオマトリクス

ベース(+110〜150K / UR 4.2〜4.3% / 時給3.9%)上振れ(+180K超・UR 4.1%・時給4.0%超のいずれか)下振れ(+80K割れ・UR 4.4%以上のいずれか)
米2Y / 10Y2Y 4.05〜4.10 / 10Y 4.35〜4.40 で膠着2Y 4.25%方向 / 10Y 4.50%方向2Y 4.00%割れ / 10Y 4.30%方向
株(SPX / SOXX / XLV)SPX 7,300〜7,500 / SOXX $620手前で戻り売り / XLV giveback開始SPX 7,300試し / SOXX $580割れ / XLV避難買い持続SPX 7,500試し(NDX主導)/ SOXX $620〜$639.45全戻し / XLV景気不安で延命
ドル円(USD/JPY)161.0〜162.0 レンジ慣性継続161.95→162.00試し。MOF介入帯で蓋、上抜けで163試し過密ショート(52週1.4%)解消で160.65→159.45試し。7/3薄商いで増幅
WTI原油 / 金WTI $68.86近辺で下方バイアス / 金 $4,000〜$4,213レンジドル高でWTIに二重下押し / 金 $4,000試しドル安緩和 vs 需要懸念の交錯でWTI方向定まらず / 金 $4,213再試
BTC / ETFフロー6/26の減速(-$444.5M)を引き継ぎ$60,000挟む流出継続・加速で$59,000割れ試し流出小幅減速またはETF一時反転でリリーフラリー(V字底とは別物)

一段深い視点

週次-7bpの10年国債ラリーは流動性供給では説明できない。Fed H.4.1(6/24週)によれば準備預金は週次-$82B流出し、TGA +$38B・ON RRP +$17Bが吸収した。流動性は逆風にもかかわらず長端が買われたのは、純粋に「9月利上げ期待の引き下げ」という期待主導の値付け直しだと判断できる。フローの裏付けがない分、NFPで期待が変われば剥がれやすい。

詳細データ準備預金 -82B の内訳(Fed H.4.1、6/24週)
項目週次変化
準備預金-$82B
TGA(財務省一般口座)+$38B
ON RRP(翌日物リバース・レポ)+$17B
外国公式口座その他+$27B

TGA+ON RRP+外国公式で計+$82Bが吸収され、準備預金の-$82Bと会計恒等式で閉合する。準備預金残高$2.95Tは「十分な準備」維持ライン~$3.0Tに接近しており、下期にFedがQTペースを落とせばこの配管要因が変質しうる。

同じ週に川上(MU売上前年比約4倍、顧客コミット$22B)と川下(AAPL Mac +$200〜$1,300・iPad +$150〜$200、MSFT Xbox +$100〜$150)でメモリコスト転嫁が同時に確認された。スーパーコア +3.88%(対目標+188bp)の粘着エンジンに、この川下値上げが加わる構造を以下に示す。

MU: 売上前年比約4倍・顧客優先供給コミット $22B(AIデータセンター向けHBM/NAND)価格決定力が供給側(MU)へ移行した物証。前年比4倍は需給逼迫の度合いを示す
AAPL Mac +$200〜$1,300 / iPad +$150〜$200、MSFT Xbox +$100〜$150(6/25発表)クックCEOがWSJで「メモリコストは吸収できない水準」と言語化し、転嫁の中間メカニズムを確定させた
PCEスーパーコア +3.88% YoY / コアPCE +3.4%(2023年10月以来最高)デバイス値上げ→PCE財転嫁は時間差あり。スーパーコア粘着は住宅・保険・医療ほか多因子だが川下値上げが粘着を延長する方向に作用する
FedWatch 7/29 Hold 69.0% / ハト・リプライシングの薄い土台Hold確率は月次ヘッドライン0.1pt下振れに依存する。スーパーコア超過がこの土台を削り続けている

投機的円ショートはCFTC Legacy非商業ベースで-146,104枚(2024年7月ピーク-184,000枚比79.4%)まで積み上がり、TFFネット-175,456枚のうちレバレッジファンドが55.3%(-97,092枚)を占める。日本側のファンダはJGB2Y 1.41%・東京CPI +1.7%と円高方向を指しているのに、USD/JPY 161.685が動かないのは米日2年金利差268bp(4.09%-1.41%)が呑み込んでいるためだ。かつてこのポジションを動かしていた先導因は「BOJがいつ利上げするか」だったが、BOJ7/30利上げの織り込み(36%)が「意外ではない」状態まで進んだ現在、価格を動かすのはFed側(NFPが9月利上げ確度を動かすか)が主役に変わっている。下振れNFPでFedハト化が進めば、55.3%のレバ勢が点火剤となり159.45試しへの経路が開く。

背景矛盾シグナル: 強気と弱気が同居する4つの場面

① ハト・リプライシング vs タカ側インフレ指標: Hold 64.6→69.0%(+4.4pt)の根拠は月次ヘッドライン0.1pt下振れ。同日のコアPCE +3.4%・スーパーコア +3.88%は逆向き。

② 10Yラリー vs スーパーコア超過(ハト的 vs タカ的): 10Y -7bpは緩和方向。スーパーコア対目標+188bpは緩和を許さない水準。前端2Yが不動のまま両者が7/2 NFPを待つ。

③ GDP +2.1% vs 前方ソフトデータ(強 vs 弱): Q1 GDP +2.1%第3次推計は輸入下方修正主導の機械的押し上げ。耐久財-4.5%・継続失業申請1,821K・ミシガン消費者マインド前年比-19%は前方が弱い。

④ 円ショート79%ile vs BOJ追加利上げ待ち(売られすぎ vs 売り継続の対立): 3つの分析軸(トレンド/回帰/構造)が正当に対立し、どちらに振れても矛盾しない過密ポジションで来週入りする。

アセット別 来週見立て

株(詳細は equity 記事へ

SPX -1.95%/NDX -4.24%の指数下落の裏でIWM +1.43%/S5TH +5.29ptとbreadthは改善した「指数≠市場」の二層構造。6/30 Q2末リバランス(NDX +22.82% vs 米総合債 -0.06%の差+22.88pp)・7/1 ISM製造業PMI・7/2 NFP + NKE決算 + SOXX戻り試しで来週答え合わせとなる。

キーレベル: SPX 上値7,500 / 7,620.90(52週高値)、下値7,300 / 7,250。SOXX 上値$620(+5.1%)/ $639.45(全戻し+8.39%)、下値$580。VIX 16台復帰=リバウンド継続、20〜21超=戻り売り優勢。

為替(詳細は fx 記事へ

USD/JPY 161.76は介入トリガー162.00まで+0.15%、50DMA 159.45まで-1.43%のR:R 1:9.6の下方非対称。CFTCの円ショート52週パーセンタイル1.4%の過密に、NFP下振れが点火すれば一斉解消で160.65→159.45試し。DXY +0.51%の91.7%が対欧州通貨高であり、JPY寄与は6.4%にとどまる。

キーレベル: USD/JPY 上値161.95 / 162.00(介入)/ 163.00、下値161.32(200DMA)/ 161.00 / 160.65 / 159.45(50DMA)。EUR/USD 上値1.1400 / 1.1459、下値1.1390 / 1.1354 / 1.1300。

コモディティ(詳細は commodity 記事へ

米・イラン和平進展でWTI・金から地政学プレミアムが同時に剥落(2通貨配当の非対称アンワインド)。WTI $68.86はPhase 1(プレミアム減圧)がほぼ完了した水準で、来週7/1 EIA在庫がPhase 2(需給余剰ファンダ)入りの最初の定量証拠となるかが焦点。金$4,087は米10Y -7bpと整合的で、NFP次第の実質金利方向が主役。

キーレベル: WTI $68.86(2/27戦前水準)/ $57.9(2025年末終値、Phase 2下方余地約$11/bbl)。金 上値$4,213(6/18起点)/ $4,368(YTDフラットライン)、下値$4,000(心理節目)。

仮想通貨(詳細は crypto 記事へ

BTC現物ETF週間-$1.79B(史上2位)+7週連続流出(過去最長タイ)。6/25 -$696M→6/26 -$444.5Mの減速の芽がNFP後も続くかがBTC $60,000維持の可否を決める。先物OI -18.4%(30日前比$44.09B)で強制投げの燃料は枯れており、資本流出(ETF償還)主導の下落構造だ。ETH $1,579.87はEthereum Foundation 20%人員削減(6/23発表)という固有材料を抱え、週次でBTCを-2.5pp劣後させた。

キーレベル: BTC 上値$64,035(6/22週起点・流出一巡シグナル)、下値$60,000→$59,000→$50,956。ETH 下値$1,500(心理節目)。

来週の注目点

  • 米NFP 6月分(7/2木 21:30 JST): コンセンサス+130K(前回+172K)/ FedWatch 7/29 Hold 69.0%。4過熱フロー(円ショート・ETF・SOXX・原油)を同時に裁定する単一触媒
  • MOF 6月介入額公表 + Q2末リバランス(6/30月): MOF前期¥11.7兆の確認 + NDX +22.82%の機械的テック売り。介入実績が162.00の硬さを再確認するか、同日に2つの大型フローが交差
  • EIA週次石油在庫(7/1水 23:30 JST): 前週-6.088百万バレル(予想-4.5百万バレルを大幅上回るドロー)。5年平均比-7%の水準で、地政学プレミアム剥落後も需給タイトが維持されるかの確認
  • 米ISM製造業PMI 6月(7/1火 23:00 JST): コンセンサス53.0(前回54.0)。50維持=AI設備投資持続再確認、50割れ=景気懸念再浮上でNFP前に早期フロー調整
  • 7/3金 NYSE・CME休場独立記念日観測日): 実質4営業日週。NFP直後の方向へ薄商いでオーバーシュートが増幅されうる点が来週固有のリスク要因

ソース

  • CME FedWatch(2026-06-28取得)
  • CFTC Commitments of Traders(COT、TFF・Legacy 2026-06-28公表分)
  • Fed H.4.1 Release(2026-06-28取得)
  • EIA Weekly Petroleum Status Report(前週分、2026-06-28取得)
  • 財務省(MOF)外国為替市場介入実績(2026-06-28取得)
  • Bloomberg/Reuters(MU決算発表、AAPL/MSFT値上げ報道、6/25〜28)
  • 02-research-brief(横断指標SSOT、2026-06-28)
  • 各spoke: equity final / fx v2 / commodity final / crypto final