7月2日(木)21:30 JST(7/4 独立記念日の前倒し発表)、米雇用統計(NFP 6月分、コンセンサス+130K)が来週を規定する単一触媒だ。動かぬ米2年国債利回り4.09%(週次-1bp)が支点となり、CFTC円ショート52週1.4%パーセンタイルの過密・BTC現物ETF7週連続純流出(週間-$1.79B、史上2位)・SOXX週次-7.74%急落・WTI月次-21.93%の4過熱フローが宙吊りのまま来週に持ち込まれた。7/3(金)NYSE・CME休場(独立記念日観測日)で実質4営業日週となり、NFP直後の方向へオーバーシュートが乗りやすい配置だ。
先週の振り返り
| 銘柄 | 価格 | 週次 | 月次 | 年初来 |
|---|---|---|---|---|
| SPX | 7,354.02 | -1.95% | -3.01% | +7.43% |
| NDX | 29,118.24 | -4.24% | -2.88% | +15.70% |
| N225 | 69,360.88 | -2.65% | +6.71% | +37.78% |
| USDJPY | 161.69 | +0.25% | +1.46% | +3.37% |
| DXY | 101.36 | +0.51% | +2.48% | +3.13% |
| EURUSD | 1.14 | -0.60% | -2.22% | -3.04% |
| WTI | 68.86 | -9.40% | -21.93% | +18.90% |
| XAU | 4,087.01 | -3.00% | — | -6.40% |
| BTC | 60,229.89 | -6.10% | +18.20% | -31.20% |
| ETH | 1,579.87 | -8.60% | +21.40% | -46.50% |
| 米10Y | 4.39 | -7.00% | — | — |
| 米2Y | 4.09 | -1.00% | — | — |
株: SPX -1.95%/NDX -4.24%と大型テック主導で指数が下落した裏で、IWM(Russell 2000)+1.43%・S5TH(S&P 500 equal-weight)+5.29pt(63.54%)と市場の裾野は逆方向へ広がり、「指数≠市場」の二層構造が鮮明になった。為替: DXY +0.51%の寄与の91.7%は欧州通貨3通貨(EUR/CHF/SEK)への強さによるものであり、USD/JPY +0.25%は介入トリガー162.00まで+0.19%に接近したまま膠着した。コモディティ: 米・イラン和平交渉の進展でWTI月次-21.93%(2/27戦前水準$68.86に回帰)・金週次-3.0%と、原油・金から地政学プレミアムが同時に剥落した。仮想通貨: BTC現物ETFが週間-$1.79B(史上2位)の純流出を計上したが、6/25 -$696M → 6/26 -$444.5Mと減速の芽が出ており、先物OI -18.4%(30日前比)は強制清算でなくETF償還主導の下落であることを示す。
来週の構造
来週は中銀会合のない週だが、米2年国債利回り4.09%という動かぬ前端が4つの過熱フローを同時に宙吊りにする異例の配置だ。円ショート(CFTC 52週1.4%パーセンタイル)・BTC現物ETF7週連続流出・SOXX週次-7.74%・原油月次-21.93%の4フローはいずれも、米日金利差268bp(4.09%-1.41%)またはFedWatch 7/29 Hold 69.0%という米前端の値付けに固定されており、その土台が動かない限り方向が定まらない。7/2(木)21:30 JSTの米NFP(コンセンサス+130K)が、この4フローを同時に裁定する単一触媒として機能する構造だ。
NFP上振れ(+180K超またはUR 4.1%または時給4.0%超)なら9月利上げ確度が上がり、円ショート継続・ETF流出加速・NDX続落・原油Phase 2入り遅延へ。下振れ(+80K割れまたはUR 4.4%以上)なら円ショートsqueeze・リリーフラリー・SOXX全戻し試し・oversold bounceへと4フローが同時に動く。7/3(金)NYSE・CME休場(独立記念日観測日)で実質4営業日週となり、NFP直後の方向へのオーバーシュートが増幅されやすい。
来週のマクロ・イベント
中銀の現在地
来週は中銀会合なし。CME FedWatch 7/29 FOMC = Hold 69.0% / +25bp 31.0%。9/16の+25bp累計確率は46.7%で「7月Hold・9月以降利上げ」が中心シナリオとなっている。ただしHold確率が6/25 PCE後に64.6%→69.0%(+4.4pt)と上昇した根拠は月次ヘッドラインが予想を0.1pt下回ったことに依存する薄い土台で、同日発表のコアPCE +3.4%(2023年10月以来最高)・スーパーコア +3.88%(対目標+188bp)は逆向き(タカ側)だ。7/2 NFPがこの「薄い土台」の強度を試す。
背景4中銀タカ派同期の内訳(BOJ・ECB・BOE・FOMC)
Warsh FOMC(6/17): 声明文を341語→130語に短縮(ガイダンス放棄の象徴)。ドットプロット中央値3.4%→3.8%(18名中9名が年内追加利上げ想定)。
BOJ(6/16): +25bp→1.00%(1995年9月以来31年ぶり高水準)、7-1の投票(反対: 浅田委員)。BOJ次回7/30〜31。7月利上げ確率36%、10月累積79.5%。JGB2Y 1.41%(政策金利に対して+41bp先食い済み)。
ECB(6/11): +25bp→預金ファシリティ2.25%(8回連続利下げから反転)。ラガード総裁が2026年ユーロ圏成長率0.8%に下方修正し「データ依存」で追加コミットせず。
BOE(6/17〜18): 3.75%据え置き(タカ派票2名に増加: Greene・Pill)。
4中銀が表面上は同期して引き締めバイアスを持つが、速度と震源は分散している。米=サービス粘着、欧=エネルギーショック(原油崩落で震源が反転中)、日=正常化途上という異なるエンジンで並行して動いており、協調的引き締めではない。
来週カレンダー
| 日付(JST) | イベント | コンセンサス / 織り込み |
|---|---|---|
| 6/30(月)終日 | Q2末リバランス + MOF 6月介入額(5/28〜6/26)公表 | NDX +22.82% vs 米総合債 -0.06%(差+22.88pp)/ MOF前期¥11.7兆 |
| 7/1(火)18:00 | ユーロ圏HICP 6月フラッシュ | 前年比3.1%(5月3.2%) |
| 7/1(火)23:00 | 米ISM製造業PMI(6月) | ~53.0(前回54.0) |
| 7/1(水)23:30 | EIA週次石油在庫(6/26週) | 前週-6.088百万バレル |
| 7/2(木)21:30 | 米雇用統計 NFP(6月分) | +130K / 失業率4.3% / 時給3.9% |
| 7/2(木)23:30 | EIA週次天然ガス在庫 | 前週+76 Bcf |
| 7/3(金)終日 | NYSE・CME休場(独立記念日観測日) | 実質4営業日週 |
NFP × 4アセット シナリオマトリクス
| ベース(+110〜150K / UR 4.2〜4.3% / 時給3.9%) | 上振れ(+180K超・UR 4.1%・時給4.0%超のいずれか) | 下振れ(+80K割れ・UR 4.4%以上のいずれか) | |
|---|---|---|---|
| 米2Y / 10Y | 2Y 4.05〜4.10 / 10Y 4.35〜4.40 で膠着 | 2Y 4.25%方向 / 10Y 4.50%方向 | 2Y 4.00%割れ / 10Y 4.30%方向 |
| 株(SPX / SOXX / XLV) | SPX 7,300〜7,500 / SOXX $620手前で戻り売り / XLV giveback開始 | SPX 7,300試し / SOXX $580割れ / XLV避難買い持続 | SPX 7,500試し(NDX主導)/ SOXX $620〜$639.45全戻し / XLV景気不安で延命 |
| ドル円(USD/JPY) | 161.0〜162.0 レンジ慣性継続 | 161.95→162.00試し。MOF介入帯で蓋、上抜けで163試し | 過密ショート(52週1.4%)解消で160.65→159.45試し。7/3薄商いで増幅 |
| WTI原油 / 金 | WTI $68.86近辺で下方バイアス / 金 $4,000〜$4,213レンジ | ドル高でWTIに二重下押し / 金 $4,000試し | ドル安緩和 vs 需要懸念の交錯でWTI方向定まらず / 金 $4,213再試 |
| BTC / ETFフロー | 6/26の減速(-$444.5M)を引き継ぎ$60,000挟む | 流出継続・加速で$59,000割れ試し | 流出小幅減速またはETF一時反転でリリーフラリー(V字底とは別物) |
一段深い視点
週次-7bpの10年国債ラリーは流動性供給では説明できない。Fed H.4.1(6/24週)によれば準備預金は週次-$82B流出し、TGA +$38B・ON RRP +$17Bが吸収した。流動性は逆風にもかかわらず長端が買われたのは、純粋に「9月利上げ期待の引き下げ」という期待主導の値付け直しだと判断できる。フローの裏付けがない分、NFPで期待が変われば剥がれやすい。
詳細データ準備預金 -82B の内訳(Fed H.4.1、6/24週)
| 項目 | 週次変化 |
|---|---|
| 準備預金 | -$82B |
| TGA(財務省一般口座) | +$38B |
| ON RRP(翌日物リバース・レポ) | +$17B |
| 外国公式口座その他 | +$27B |
TGA+ON RRP+外国公式で計+$82Bが吸収され、準備預金の-$82Bと会計恒等式で閉合する。準備預金残高$2.95Tは「十分な準備」維持ライン~$3.0Tに接近しており、下期にFedがQTペースを落とせばこの配管要因が変質しうる。
同じ週に川上(MU売上前年比約4倍、顧客コミット$22B)と川下(AAPL Mac +$200〜$1,300・iPad +$150〜$200、MSFT Xbox +$100〜$150)でメモリコスト転嫁が同時に確認された。スーパーコア +3.88%(対目標+188bp)の粘着エンジンに、この川下値上げが加わる構造を以下に示す。
投機的円ショートはCFTC Legacy非商業ベースで-146,104枚(2024年7月ピーク-184,000枚比79.4%)まで積み上がり、TFFネット-175,456枚のうちレバレッジファンドが55.3%(-97,092枚)を占める。日本側のファンダはJGB2Y 1.41%・東京CPI +1.7%と円高方向を指しているのに、USD/JPY 161.685が動かないのは米日2年金利差268bp(4.09%-1.41%)が呑み込んでいるためだ。かつてこのポジションを動かしていた先導因は「BOJがいつ利上げするか」だったが、BOJ7/30利上げの織り込み(36%)が「意外ではない」状態まで進んだ現在、価格を動かすのはFed側(NFPが9月利上げ確度を動かすか)が主役に変わっている。下振れNFPでFedハト化が進めば、55.3%のレバ勢が点火剤となり159.45試しへの経路が開く。
背景矛盾シグナル: 強気と弱気が同居する4つの場面
① ハト・リプライシング vs タカ側インフレ指標: Hold 64.6→69.0%(+4.4pt)の根拠は月次ヘッドライン0.1pt下振れ。同日のコアPCE +3.4%・スーパーコア +3.88%は逆向き。
② 10Yラリー vs スーパーコア超過(ハト的 vs タカ的): 10Y -7bpは緩和方向。スーパーコア対目標+188bpは緩和を許さない水準。前端2Yが不動のまま両者が7/2 NFPを待つ。
③ GDP +2.1% vs 前方ソフトデータ(強 vs 弱): Q1 GDP +2.1%第3次推計は輸入下方修正主導の機械的押し上げ。耐久財-4.5%・継続失業申請1,821K・ミシガン消費者マインド前年比-19%は前方が弱い。
④ 円ショート79%ile vs BOJ追加利上げ待ち(売られすぎ vs 売り継続の対立): 3つの分析軸(トレンド/回帰/構造)が正当に対立し、どちらに振れても矛盾しない過密ポジションで来週入りする。
アセット別 来週見立て
株(詳細は equity 記事へ)
SPX -1.95%/NDX -4.24%の指数下落の裏でIWM +1.43%/S5TH +5.29ptとbreadthは改善した「指数≠市場」の二層構造。6/30 Q2末リバランス(NDX +22.82% vs 米総合債 -0.06%の差+22.88pp)・7/1 ISM製造業PMI・7/2 NFP + NKE決算 + SOXX戻り試しで来週答え合わせとなる。
キーレベル: SPX 上値7,500 / 7,620.90(52週高値)、下値7,300 / 7,250。SOXX 上値$620(+5.1%)/ $639.45(全戻し+8.39%)、下値$580。VIX 16台復帰=リバウンド継続、20〜21超=戻り売り優勢。
為替(詳細は fx 記事へ)
USD/JPY 161.76は介入トリガー162.00まで+0.15%、50DMA 159.45まで-1.43%のR:R 1:9.6の下方非対称。CFTCの円ショート52週パーセンタイル1.4%の過密に、NFP下振れが点火すれば一斉解消で160.65→159.45試し。DXY +0.51%の91.7%が対欧州通貨高であり、JPY寄与は6.4%にとどまる。
キーレベル: USD/JPY 上値161.95 / 162.00(介入)/ 163.00、下値161.32(200DMA)/ 161.00 / 160.65 / 159.45(50DMA)。EUR/USD 上値1.1400 / 1.1459、下値1.1390 / 1.1354 / 1.1300。
コモディティ(詳細は commodity 記事へ)
米・イラン和平進展でWTI・金から地政学プレミアムが同時に剥落(2通貨配当の非対称アンワインド)。WTI $68.86はPhase 1(プレミアム減圧)がほぼ完了した水準で、来週7/1 EIA在庫がPhase 2(需給余剰ファンダ)入りの最初の定量証拠となるかが焦点。金$4,087は米10Y -7bpと整合的で、NFP次第の実質金利方向が主役。
キーレベル: WTI $68.86(2/27戦前水準)/ $57.9(2025年末終値、Phase 2下方余地約$11/bbl)。金 上値$4,213(6/18起点)/ $4,368(YTDフラットライン)、下値$4,000(心理節目)。
仮想通貨(詳細は crypto 記事へ)
BTC現物ETF週間-$1.79B(史上2位)+7週連続流出(過去最長タイ)。6/25 -$696M→6/26 -$444.5Mの減速の芽がNFP後も続くかがBTC $60,000維持の可否を決める。先物OI -18.4%(30日前比$44.09B)で強制投げの燃料は枯れており、資本流出(ETF償還)主導の下落構造だ。ETH $1,579.87はEthereum Foundation 20%人員削減(6/23発表)という固有材料を抱え、週次でBTCを-2.5pp劣後させた。
キーレベル: BTC 上値$64,035(6/22週起点・流出一巡シグナル)、下値$60,000→$59,000→$50,956。ETH 下値$1,500(心理節目)。
来週の注目点
- 米NFP 6月分(7/2木 21:30 JST): コンセンサス+130K(前回+172K)/ FedWatch 7/29 Hold 69.0%。4過熱フロー(円ショート・ETF・SOXX・原油)を同時に裁定する単一触媒
- MOF 6月介入額公表 + Q2末リバランス(6/30月): MOF前期¥11.7兆の確認 + NDX +22.82%の機械的テック売り。介入実績が162.00の硬さを再確認するか、同日に2つの大型フローが交差
- EIA週次石油在庫(7/1水 23:30 JST): 前週-6.088百万バレル(予想-4.5百万バレルを大幅上回るドロー)。5年平均比-7%の水準で、地政学プレミアム剥落後も需給タイトが維持されるかの確認
- 米ISM製造業PMI 6月(7/1火 23:00 JST): コンセンサス53.0(前回54.0)。50維持=AI設備投資持続再確認、50割れ=景気懸念再浮上でNFP前に早期フロー調整
- 7/3金 NYSE・CME休場(独立記念日観測日): 実質4営業日週。NFP直後の方向へ薄商いでオーバーシュートが増幅されうる点が来週固有のリスク要因
ソース
- CME FedWatch(2026-06-28取得)
- CFTC Commitments of Traders(COT、TFF・Legacy 2026-06-28公表分)
- Fed H.4.1 Release(2026-06-28取得)
- EIA Weekly Petroleum Status Report(前週分、2026-06-28取得)
- 財務省(MOF)外国為替市場介入実績(2026-06-28取得)
- Bloomberg/Reuters(MU決算発表、AAPL/MSFT値上げ報道、6/25〜28)
- 02-research-brief(横断指標SSOT、2026-06-28)
- 各spoke: equity final / fx v2 / commodity final / crypto final
