株式リスクプレミアム
株式リスクプレミアムは、株式市場や株価指数の期待収益率が無リスク資産などの参照資産を上回る部分です。直接観測できる値ではなく、手法や前提に基づく推計値です。
株式リスクプレミアムは、株式市場や株価指数の期待収益率が無リスク資産などの参照資産を上回る部分です。直接観測できる値ではなく、手法や前提に基づく推計値です。
株式リスクプレミアムは、株式市場に投資する際に引き受けるリスクに対して、投資家が期待する超過収益率を表す概念です。
株式リスクプレミアム(Equity Risk Premium、ERP)は、株式市場または株価指数の期待収益率から、無リスク資産などの参照資産の収益率を差し引いた部分です。単純化すると、無リスク金利を参照した次の式で表せます。
ERP = 株式の期待収益率 − 無リスク金利
ERPは市場価格のように直接観測できる値ではなく、推計値です。過去の株式・債券リターンの差から推計する方法や、株価と予想キャッシュフローから将来の値を逆算する方法などがあり、手法や前提によって数値や解釈が異なります。
過去の株式リターンと債券などのリターンとの差から計算するものは、歴史的ERPです。将来の期待収益率を推計したものは期待ERPと呼ばれます。そのうち、株価と予想キャッシュフローなどから将来のERPを逆算する推計は、インプライドERPと呼ばれます。歴史的ERPは過去に実現したリターンの差、期待ERPやインプライドERPは将来についての推計であり、同じ観測値確率変数 X が試行を実行した結果として実際に観測された具体的な数値 x のこと。試行前の「値が定まっていない箱」が X、試行後に箱から出てきた「具体的な数」が x。として扱うものではありません。
市場指標の作り方も一つではありません。たとえば米連邦準備制度理事会(FRB)の推計指標の一つは、S&P 500の予想利益利回りから10年実質米国債利回りを差し引いています。日本銀行の研究では、オプション価格から推計する日次ERPと、個別銘柄の株式益回りと長期国債金利の差を使う週次イールドスプレッドを、別の指標として扱っています。イールドスプレッドのような差は、ERPそのものの直接観測値ではなく、代理指標の一つです。
リスクプレミアムは、リスク資産全般について使われる上位概念です。ERPは、そのうち株式への投資に関するものです。市場リスクプレミアムは、CAPM(資本資産価格モデル)で市場ポートフォリオに対する期待超過収益率を指し、市場全体についてのERPと重なる用法があります。
CAPMでは、市場ERPに個別株のベータ(β)を掛け、無リスク金利に加えて個別株の期待収益率を求めます。βはこの計算で個別株ごとに使う係数です。
個別株の期待収益率 = 無リスク金利 + β × 市場ERP
そのため、市場全体のERPと個別株の期待超過収益率は同じではありません。
説明用の仮想例として、ある株価指数の期待収益率を年率7%、無リスク金利を年率3%とすると、ERPは4パーセントポイントです。これは前提に基づく期待値確率変数が取りうる各値に、その確率を重みとして掛けて足し合わせた値。長期的に試行を繰り返したときの観測平均の収束先を表す。離散型では値と確率の積の総和、連続型では密度関数による積分で定義される。で、実際に株式が無リスク資産を4ポイント上回ることを保証するものではありません。
参照元記事の「米イラン和平進展(6月11〜12日)が株式リスクプレミアムを2日で大きく圧縮した」という文脈では、「圧縮」を説明上「何らかの期待ERP推計値が低下した」と仮置きできます。ただし、対象市場・指数、指標や推計方法、前後の数値、データ出所は確認できません。ERPが2日で大きく低下したこと自体と、和平進展がその原因だという因果関係はいずれも未確認です。
資産価格の変化には、将来収益の予想、金利、リスクプレミアムなど複数の要因が関わり得ます。特定のニュースとERPの変化を結び付けるには、どの指標をどの方法で推計し、どの期間の数値を比べたのかを確認する必要があります。