TIPS(ティップス)は、米国財務省が発行する物価連動証券です。米国債の一種で、物価に応じて元本が調整されます。
定義
TIPSは、米国のCPICPIは、消費者が購入する財・サービスの価格の動きを指数で示す統計です。国や機関により指標の範囲や算出方法が異なり、ユーロ圏のHICPと常に同じ意味ではありません。-U(都市消費者物価指数)に連動して元本が変わる米国財務省の市場性証券です。物価が上がると元本は増え、下がると減ります。利率自体は固定ですが、利払いは物価調整後の元本を基準に半年ごとに行われます。満期には、物価調整後の元本と当初元本のうち大きい方が支払われます。発行年限は5年、10年、30年です。TreasuryDirect「TIPS」および同「用語集」を参照。
たとえば、単純化した仮定として、当初元本1万ドルが物価調整で1万300ドルになり、固定利率が年2%なら、半年分の利払いは1万300ドル×2%÷2=103ドルです。
利回り指標との違い
記事中のDFII10は、米国債の10年一定満期の物価連動利回りを示すデータ系列です。FREDのDFII10系列によると、そのデータ源はFRBです。FRBの説明では、一定満期利回りは、店頭市場(取引所を通さずに売買する市場)で取引されるTIPSの利回りから作る曲線を使って求めます。満期の異なるTIPSの利回りを満期ごとに並べた曲線から、10年満期にあたる値を補間します。補間とは、その値の前後にある利回りを手がかりに、10年の値を求めることです。FRB H.15を参照。
そのため、記事にある「10年TIPS実質利回り」の変化は、TIPSの固定利率の変更ではなく、10年満期にそろえた市場利回りの変化を指します。DFII10は、特定の発行銘柄の利回りではありません。
似た用語との違い
TIPSは米国債の固有の種類であり、各国の物価連動債一般を指す語ではありません。たとえば日本の物価連動国債は全国CPI(生鮮食品を除く総合指数)に連動し、10年債として設計されています。連動する指数や年限などの商品設計は国によって異なります。財務省「物価連動国債の商品設計」を参照。
この用語を扱う本編記事
詳しくは
- TreasuryDirect「TIPS」 — 元本調整、利払い、満期時の元本について。
- FRB H.15「Selected Interest Rates」 — 米国債の一定満期利回りの算出説明について。
- FRED「DFII10」 — 10年一定満期の物価連動利回り系列について。
- 財務省「物価連動国債の商品設計」 — 日本の物価連動国債の設計について。