循環取引
複数企業が共謀し、取引を装って売上や利益を水増しする会計不正です。購入資金を支える仕組みや資金の循環があるだけで、循環取引と決まるわけではありません。
循環取引(じゅんかんとりひき)は、会計・監査の文脈で、複数企業間の取引を装って売上や利益を水増しする不正を指します。
日本の監査・会計資料では、複数企業が共謀し、転売や役務提供を繰り返して、実際に取引があるように見せる行為を循環取引としています。帳簿上で商品を複数社に通過させる「スルー取引」、商品を起点の企業に戻す「Uターン取引(回し取引)」、企業同士が相互に販売する「クロス取引(バーター取引)」などがあります。これらを通じて売上や利益を水増しする点が問題です(日本監査役協会ほか『循環取引に対応する内部統制に関する共同研究報告』2024年、pp. 3–4)。
仮想例: A社、B社、C社が、商品をA社からB社、C社へ順に売り、最後にA社へ戻すことをあらかじめ取り決めたとします。各社が独立した需要に基づく販売のように記帳して売上を計上すれば、循環取引に当たり得ます。これは仕組みを説明するための仮想例です。
参照元記事では英語表現 circular financing が使われています。ただし、提供された記事の文脈だけでは、どの企業間でどのような資金の流れがあるのか確認できません。市場で購入資金を支える仕組みを指している場合、それがただちに会計上の循環取引を意味するわけではありません。
Vendor financing(売り手融資)は、売り手が買い手の購入資金を融資したり、通常より長い支払条件を認めたりする仕組みです。資金の循環に関わることはあり得ますが、それだけで取引の仮装や売上の水増しがあるとはいえません。SECの会計主任による講演では、顧客への出資やワラント付与と購入約束が組み合わさる例について、資金が売上として戻る round-trip の実質や会計処理を検討するよう説明しています。通常の支払条件を超える場合に売り手融資に当たる可能性も挙げていますが、こうした資本提供と購入契約の結び付きだけで不正と判定しているわけではありません(Lynn E. Turner, “Revenue Recognition,” 2001年5月31日)。